●評論家の罠~月に囚われた男

映画評論家のレビューは、映画選びの参考になる。
評論家が誉めていれば、私たち素人は(よい映画だろう)と思い、その映画を選択肢に入れる。

第9地区』はまさしくそういう映画だった。複数の映画評論家、ワイドショーの司会者、新聞および雑誌等が<誉める>をこえ<大絶賛>していた。映画を見る前から、マスコミでこれだけ絶賛の嵐を見聞きすれば、普通(傑作に違いないはず)と思いこんでしまう。そして実際に見て、少し(アレ?)と思っても、既に"傑作"と刷り込まれているので、自分の感性の方を疑う。「そんなこともないよ。」と言う人もいるかもしれないが、少なくとも私は゛刷り込まれやすい人"だ。

しかし、考えてみれば、評論家というのは、もうその時点で普通の人の感覚じゃないのだ。映画評論家は一日に何本も映画を見るのが仕事。見すぎて、逆に感性はマヒしているかもしれない。またマスコミが大絶賛する映画に“大人の事情”が絶対ないとは言い切れないだろう。
とにかく、評論家やマスコミの高すぎる得点、影響を受けやすい人には要注意!!
"見チカラ"が鈍ります!

批判を覚悟で言えば『第9地区』も、勿論、見る価値がある映画ではあったが、今になってみると、私にはマスコミ評価が少し高すぎたような気がしてきた。


その『第9地区』とほとんど同時に公開された、同じくSFファンタジー『月に囚われた男』。
公開劇場も少ないせいか、『第9地区』に比べれば地味な印象だ。マスコミ絶賛の声も聞こえてこない。
しかし、しかしこれがなかなかの優れモノのSFファンタジーだったのだ。後世に残したいSF映画を『第9地区』かどちらか選べと言われたら、私は迷わずこちらを選ぶだろう。

月に囚われた男』は文学的な趣きさえあるSF映画だ。邦題もその雰囲気を生かしている。
限られた登場人物による、シンプルな舞台。だが、途中、頭が混乱してしまうほど凝った脚本だ。シュールなのだが、無機質すぎるわけではない、血の通ったヒューマンなSFである。

この映画の監督が“デビットボーイの息子”というのが、一体どういうことを意味するのか、正直、私にはわからない。だけどそんなことはどうでもよい。
誰が演じているのかもそう大きな問題ではない。

大事なのは“ファンタジーの中のリアリティ”。
<任期3年で月に単身赴任した男>の孤独は、地球に住んでいても、ひしひしと感じ取ることができる。


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                           『月に囚われた男』/原題『MOON』
by feliza0930 | 2010-05-22 00:02 | ・MOVIE | Comments(2)
Commented by arizonaroom at 2017-05-03 22:03
felizaさん
私は最近は多忙を極めていて時間が取れず(その割にはブログはマメに更新していますが)
映画はアマゾンプライムやアメリカでの休暇中、もしくは飛行機の中とかのみで、行き当たりばったりでしか見ておらず、この映画も一昨日初めて見たばかりです。でも2010年ころはけっこう時間がありビデオショップにはせっせと通っていて、かなり見ていたのですが、なぜかこの映画のことを知りませんでした。天文学的予算のハリウッド映画の何倍もよかったと思うんですけどね。
Commented by feliza0930 at 2017-05-04 10:28
arizonaroomさんの映画レビュー、楽しみにしています。
映画は観て、他の人の書いたレビューを読んで、
二度楽しめますね。
ブログを書けば三度でしょうか(^_-)-☆