●時をかける少年

「人類最大の夢は不老不死。時間を止めることと過去に戻ることは・・・」と電車の中でPOMERA(デジタルメモ機)で文を書いている私の隣に突然、少年が座ってきた。年のころは10歳前後くらいだろうか。
夏休みになったばかりの昼下がり。その少年は先ほどまで向かい側の席で、イマドキの高校生らしき少女二人と楽しそうにおしゃべりしてた。

「じゃあ、頑張って」と少女たちは少年に声をかけて降りていった。

少女たちが降りると、少年は私の隣にきて珍しそうにPOMERAを眺めては「ねぇ、それはメール書けるの?」「インターネットで調べられるの?」と聞いてくる。「文章を書くしかできないよ」というと、藪から棒に「藤原氏とか昔、貴族が長生きできなかったのは食事が原因です」と言い出す。
(ははあ~、これが噂に聞く『レキジョ』かな。でも男子だからレキダン?ちびっ子レキダン?)と思うと今度は急に「『時は金なり』と昔からいうほど、時間は昔から大切にされてきました。」「長く生きるためには、規則正しい生活が必要です」と故事成語に健康論までぶってくる。「僕、歴史好き?」「うん。秦の始皇帝までは自分で調べてよくわかっている。中学に入ったらヨーロッパの国々の歴史を調べたいんだ」と目を輝かす。


「論文に書くときはね」(ええ!?なになに!小学生が「論文」だって?)私は一瞬、聞き間違えたかと思ったが、少年は言葉を続ける。
「本で調べると『本によると・・・』と書かなくちゃいけなくて、ネットで調べた知識なら『ネットによると』と書くんだよ」「自分で考えたなら『・・・ではないかと思う』と書かなくてはいけないよ。」と親切に論文の書き方の指導までしてくれる。

私は再びPOMERAに目を落とす。「さぁ~、この次に何書いたらいいかなぁ?」と少年に聞いた。
すると「あとは自分で考えてね。バイバイ」と言って次の駅で降りていった。

外は今日も、うだるような暑さで空気がゆらゆら揺れていた。
昭和っぽい雰囲気をまとったデスマス調で話す少年は、もしかしたら『時をかける少年』だったのかもしれない。
あまりの暑さで私は白日夢でも見たのだろうか。




by feliza0930 | 2010-07-23 18:59 | ・LIFE | Comments(0)
名前 :
URL :
※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。
削除用パスワード