●工場萌え①

その一風変わった雑誌と出会ったのは二年前のことだった。
ワンダーJAPAN』という本は<日本の異空間探検マガジン>というコンセプトの元に、廃墟、奇妙な建築物、珍寺などを紹介していた。世の中には、世間の常識からは美しいとは言い難いものに美を感じる人種がいることを、私は初めて知った。
創刊号の巻末に『萌える工場』記事が載っていた。
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『萌える工場』
wami氏によると四日市は工場マニアにとって聖地らしい。公害で有名になった街だが、悪いのは環境に配慮しなかった人間で工場自体に罪がないと彼は言う。
新宿から高速バスに乗り早朝、四日市に着き、胸を熱くしてプラントを心行くまで見て回ったという話に私は驚き、半ば呆れてしまった。(物好きな人もいるものだ・・・)

しかし、見開き写真の下に載っていた筆者の文章からは工場への愛がほとばしっていた。人は並外れた愛があると名文が書けるのか。文章には、私たちが未だかつて味わったことのない世界へ誘ってくれるような力があった。

"多くの工場好きが四日市に惹かれてやまないのは、どこまでも連なるプラントを遠くに近くに眺められる緩急織り交ぜた視線の美しさと、密度高く並んだ様々に異なるディテールを持つプラントが角度によって全く新しい情景を形作る美しさ、その両方を合わせ持つ懐の深さが大きな要因かもしれない。そう考えながら移ろい行く時間の流れで目の前に広がる風景を眺めているだけでも胸が熱くなる。"


23号線を走る度にwami氏の描写が頭に浮かんだ。
だが、大型トラックに挟まれビクビクしながら運転する私には、窓の外を流れゆくコンビナートの群れをじっくり眺める余裕はなかった。
by feliza0930 | 2010-09-05 08:50 | ・TRAVEL | Comments(0)