●『辞書』を編む③~『舟を編む』

どんなによくできた映画でも映像になると原作とは多少となりイメージが違うものだ。
ところが『舟を編む』、最初はミスキャストではないかと思った馬絞(マジメ)役の松田龍平が全く違和感がない。運動とは無縁の、筋肉のなさそうなヒョロヒョロした体つき、前かがみに歩く猫背の後ろ姿、クタクタの背広、ダサい眼鏡。自信なげな声の出し方。松田はイケメンオーラを消し去り、さすが役者としか言いようがない。
チャライ西岡ときたらオダギリジョーと途中まで気づかなった。
辞書作りに生涯をささげた学者肌の松本は加藤剛しか演じられないだろう。
それほどほとんどどの役も原作のイメージを壊していなかった(ただヒロインだけはちょっと惜しいのだが)。
所々、挿入される海のシーン、押し寄せる波の音は映像ならではの表現が加わった。カットしている原作部分も勿論あるのだが、多くを語り過ぎない台詞や描写がいい。それでいて随所に細やかに丁寧さが感じられる。派手なハリウッド映画とは一味違う邦画を見直す。

それにしても辞書作りとは・・・こんな地味なテーマがよく映画になったと感心する。
この本を映画化にしようとした製作者に全く敬服するしかない。

人付き合いが苦手、気持ちを言葉にするのが苦手な世間では「オタク」と言われる馬絞はKY人間。
だけど思い込んだら一途。好きなことは寝食忘れて没頭する集中力。人も驚く知識の量。
馬絞のような人はあなたの周りにいないだろうか。
世の中の科学技術の発達はそういう人たちに支えられている。
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馬絞の、松本の、西岡の妻も「舟」を編む。
紙を作る人、用例チェックする大学生。宣伝する人・・
辞書作りにかかわった多くの人たちの熱い想いによって舟は編まれて私たちの手に届く。
言葉の大海に溺れないように、心を表す言葉を見つける羅針盤となるために・・・。
by feliza0930 | 2013-04-24 18:02 | ・MOVIE | Comments(2)
Commented by fu-minblog at 2013-04-25 10:09
私は出版されてすぐに本を読んだのですが、がっかりするといけないので映画は見ていません。
でも、feliza0930さんの評価は高いので、ちょっと考えてみます。
ちなみに、「テルマエ・ロマエ」は映画のほうがよかったです。
マンガ読むのが苦手で疲れるもので。。。
Commented by feliza0930 at 2013-04-25 15:13
そうですか。テルマエの原作は漫画なのですね。

『舟を編む』のキャスティングはそう違和感はありませんでした。ただヒロインの宮崎あおい(ーー;)がイメージが違います。『おくりびと』の広末涼子といい、映画製作者が童顔女性が好きなのでしょうか。
香具矢さんはもっと大人な女性でなくては。
日本の多くの男性の理想が「可愛い」女性なんでしょうね・・・