●『きっと、うまくいく』(インド映画)~ボリウッド4

私は悔しい。『恋する輪廻』も『きっと、うまくいく』二つとも面白くて素晴らしい映画なのに、上映館数も上映回数も少ないのがとても悔しい。

「ハリウッドを超えるのはボリウッド」というのに周りの関心は今ひとつだ。もっと多くの人に見てもらいたいのに、小規模公開が残念でたまらない。
「インド映画を見に行く」と言ったら友人は「インド映画って歌って踊る映画だよね」と少々含みのある反応だった。
『恋する輪廻』は豪華で楽しくてワクワクドキドキする映画だったが、私たちがもっている従来の「踊って歌って」のインド映画の枠から確かにそう大きくは外れていなかった。
しかしながら『きっと、うまくいく』は現代のインドを描いていながらユニバーサルな映画だ。若者が抱える進路の悩み、学問、親との葛藤、恋、友情・・どこを切り取っても共感し共鳴する。

原題は3 IDIOTS(3馬鹿)
経済発展の著しいBRICsの一国であるインド。近年、IT産業も急成長を遂げている。
大学はエリート集団を創り出し、IT産業にも人材を送り出している。
劇中の工科大学にはトップの学生が集まる名門大学だ。しかし受験戦争に勝って大学に入っても安閑としていられない、大学入学は熾烈な競争社会への入り口に過ぎない。「蹴落とすか蹴落とされるか二つに一つ」と学長は学生に叩き込む。日本と同じですよね。いや、良い成績を取ることよりも就職活動に重きを置く日本の学生よりももっとプレッシャーを受けているだろう。
劇中で学生はより良い就職口を得るために点数を取ることだけにあくせくする。学校は生徒に知識の詰め込みを強要し就職の実績を上げようとする。だが、ランチョーは異色の学生だった。入学早々、寮での上級生からの理不尽ないじめの洗礼にも機転を利かして逃げおおせる。異論があれば学長にもたてつく。その発想は何にもしばられない。悪友ファルハーンとラージェとおバカな悪戯をしては問題を引き起こし学長に目の敵にされる。学長とランチョーはバトルを繰り返す。学長は親にメールを書き退学勧告をする。親の期待を裏切ることができない彼らが一番恐れていることだ
エリート大学には恵まれた人たちばかりが行ってはいない。自分たちの生活を犠牲にし子供に一縷の望みをかけている親たち。親の期待が重くのしかかる。本人の資質や希望は無視だ。ランチョーの口癖は「きっとうまくいく」(All is well)。家が貧乏で全てにおいて臆病になっているラージェ、本当は写真家になりたいのに父親に背くことができないファルハーン、ランチョーは「後悔のない人生を選べ。きっとうまくいく」と友達を励ます。天才肌で学問を愛するランチョーは主席を取るが、卒業後、突然姿を消す。
10年後、ランチョーが街に戻ってくると聞いて二人は母校に向かう・・・最後にどんでん返しがあって170分。
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あらすじを書くと硬い映画のようだが、全然そんなことはない。客席から時折おきる笑い、スピーディーな場面切り替え、唐突に入るシュールな踊りと歌(笑)、広大で美しい自然場面が飽きさせない。後半は三人の厚い友情と、親子の情愛に泣いてしまう。だが、基本、カラっとしているテイストなのでしめっぽくない。悲しい場面をサラっと描いてあり高度な脚本力を感じる。
宗教的なものからかラブシーンも下ネタも節度があるので嫌らしくない。面白くて楽しくて情もあってストリー展開に意外性があって、全くもってインド映画の虜になりそうだ。
だが問題があるとすればインド映画の長さだ。『恋する輪廻』は途中休憩があった。『きっと、うまくいく』もちゃんと途中休憩があった。画面上はね。でも映画館は無視したのだ。男女兼用のトイレが一個しかない映画館だから致し方がないのだが。座席後部からの空気清浄器の風がガンガン当たり体が冷えてしまった。終盤はトイレ我慢で苦しく、エンドロール途中で泣く泣く席をたちトイレへと駆け込んだ。

インド映画を見る前には飲み物を極力飲まず、暖かい恰好をして臨むべし。
今日の教訓です。
by feliza0930 | 2013-05-29 22:49 | ・MOVIE | Comments(2)
Commented by GM at 2013-05-31 21:17 x
はい、宗教的なものからです。
ラブシーン⇒10年前までキスシーンは無かったんですよ!
重くなってしまいますが、学生の自殺が多いと言う話が出ていましたよね。
これは本当なんです。
大学に入る前に全国一斉テストみたいなのがあり、これに失敗して自殺する子供が多いの!!
受験も日本と違って、「子供の受験だから休みます」と両親が付いて行ったりするんです。
シリアスな問題です。

あの美しい景色は本物で、シムラはインドの軽井沢、マナリーはもっと奥のヒマラヤ山脈の麓の町、ラダックは、カシミール地方の隣のもうヒマラヤみたいなところです。
ここを訪れた日本人の多くは高山病にかかるんです。
私はマナリーまでしか行ってないけど、アルプスのように綺麗でした。
これってネタバレ?
Commented by feliza0930 at 2013-05-31 22:30
>>GMさん、コメントありがとう。インド専門家のCMさんと一緒に映画見たかったけど、こうやって語ることができるからいいですね(^_-)-☆
受験に対する重圧、自殺率の高さは、インド社会に閉塞的な一面があるからでしょうか。カースト制もその一つですよね。

某情報番組ではこの映画を<学園コメディー>と紹介していたけど、そう一言では言いきれない映画ですよね。
コメディーでシリアスでサスペンスで、やっぱりコメディーで突き抜けた爽快感が味わえる。これぞ"エンターテイメント"。本当に面白かったです。