●引きずらない失点

台湾の人がパスポートを失くしたと言う。
それからが大変だった。
前日の京都&奈良旅行に使ったバス会社に電話。
立ち寄ったサービスエリアにも連絡する。連休中で混雑していたのでスリにあったのだろうか。どちらにせよ、警察に至急、紛失届けを出さなくてはならない。パスポート再発行するには写真もいる。大阪へ行って再発行の手続きをせねば、付き添いは誰が・・・出発は二日後に迫っている。急がなくては時間がない。

その夜はホテルでのお別れパーティーだった。
円卓でないからか、パスポート事件のあったからか、盛り上がらない静かな食事。
そこに一本の電話がかかってきた。「はい、はい、わかりました。届けてくださるのですね」。
みんなの視線が電話に集まる。
バス会社が車内をもういっぺん、何十分もかけて探してくれて、座席のすきまに入り込んだパスポートを見つけたのだった。
宴の雰囲気は一変。拍手。乾杯。歓喜の渦。誰彼となく握手。
パスポートを失くした男性は喜びのあまり奥さんをハグまでする。
付き添いするはずだった者は大阪まで行かなくてすんだので安堵だ。よかったよかった。めでたしめでたし。まるで演出していたかのようなグッドタイミングな、バス会社からの電話だった(笑)。

ところが次に日、また彼はパスポート紛失事件を起こしたのだった。
あんなことがあったのに、リュックの外ポケットに無造作に入れておくなんてちょっと信じられない。学ばない人だ。
結局、またバスの車内に落としていたのだが・・・・
さすがにバス付き添いもカンカンに怒っていた。

ところで、私たちが不思議だったのは、同行の台湾の人達の態度だ。みんな、彼を責めるわけでもない。向こうのリーダーも、「まぁ、見つかったからよろしいでしょう」とのんびりしたものだ。
日本人がツアーでパスポート紛失事件を二度も起こしたら、例え責められなくても、針のむしろではないだろうか。お詫びにコーヒーやビールをおごると思う。
以前、ツアーに参加した友達からこういう話をきいた。ツアーには遅刻常習犯の人がいた。旅行の終わりがけに他の客が、その頃は親しくなっていたのもあって、半ば冗談、半ば本気で「遅刻で迷惑かけたのだから、皆にコーヒーくらいおごってよ」と言ったという。

台湾の人たちはお詫びを言ったからもうそこで完結。周りはねちねち恨みを持たない、失敗した人も卑屈に失敗をひきずらない、ということなのだろうか。もちろんコーヒーやビールのおごりはなかった。
「ひきずらない失点」はカルチャーの違いだろうか。
(なんか、それもいいかも)と思ったパスポート紛失事件だった。

お世話する私たちはとっても疲れたけど、でも「パスポートを紛失したらどうするか」の貴重な事例を経験できたので、まぁ、いいっかぁ、です。
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紅葉にはまだ早かったです。
by feliza0930 | 2013-11-11 09:24 | ・TRAVEL | Comments(0)