●スコールの洗礼~ベトナム旅行④

ベトナムは10月まで雨季だと言う。
雨季の雨とは30分くらいザア~っと降ってすぐやむスコールのようなものと勝手に想像していた。

だが、そんな生易しいものではなかった。午前中、参加したクチトンネルツアーの時は快晴だった。
一旦、ホテルに戻り、ホテルの人のお勧めの食堂に行った。その店は地図を見ても絶対たどり着けない路地裏にあった。タクシーで来て正解だった。日本にいるベトナム人が「ベトナムに行ったら絶対食べて」と言っていたバインセオで有名な店のようだった。たいしてきれいなお店ではなかったが、地元の人や欧米人、日本人とおぼしきお客でにぎわっていた。バインセオを焼くおばさんの周りにカメラを持ち構えた人が囲んでいた。
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バインセオはお好み焼きみたいな生地を数種類の野菜でくるんで食べる料理だった。韓国料理のサンパのベトナム版?野菜好きにはたまらない料理だ。お皿いっぱいに盛られた青菜が、野菜不足になりがちな旅行者には特に嬉しい。
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名物『バインセオ』をほおばっていたら、黒い雲がでてきた。空が突然、暗くなった。あ、くるくると思う間もなくザーっと降り出してきた。食堂のお兄さんは店の外の椅子を片付け始める。私たちの座った席には簡単な屋根がついていたが、少しでも雨が振り込まないようにと内側(店側)に移動する。
雨はみるみるうちにどしゃ降りに。雷がゴロゴロ鳴り響く。水はけの悪い路地裏の道路はすぐ水浸し。
どうやって帰ろうか。
日本人マダム二人連れが、席を立った。店主にタクシーを呼んでもらったらしい。
あ、そうか、タクシーで帰ればいいんだ。お店に来てもらえばいいんだ。
ほどなく来たタクシーは優良タクシー。ぼったくられずに無事ホテルに着いた。
雨足は多少は弱まったもののまだまだ降り続いていた。
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ベトナム出発日、飛行機は夜中の12時過ぎだ。
レイトチェックアウトのサービスのお陰で夜6時まで部屋にいれる。
ありがたい、買い物をして荷物を詰めなおし、うまくいけばシャワーも浴びれるかもしれない。
疲れている夫は昼寝をしてもらって私は一人で街歩き。夫がいなければ心置きなくショッピングできる。
地図片手に通りの名前を確認しながら雑貨店&ショッピングセンター巡り。
3時半すぎ。雨はまだ降らない。雨季でも降らない日があるのかなと思いつつホテルに戻ろうとした。でも一軒もう一度寄りたい店がある。さっき、行ったとき買えばよかったのだが、店主なのか中国人らしき人がテンションマックスで激怒していた。店員は皆、押し黙っていた。そんな最悪雰囲気でとてもショッピングはできない。センスの良いオリジナルな品揃えだったにもかかわらず、すぐ店を出た。あの店にもう一度寄りたい。

そう思い始めたとき、突然、空気の流れが変わった。まるで地面の下から吹いてくるような風がでてきた。落ち葉がくるくる回転しながら横に流れる。通りから人がいつの間に消えいる。真っ黒い分厚い雲がどんどん空を覆っていく。目の前にはコロニア建築の教会、高層ビル、街の中心ど真ん中。横風がぐるぐるまわりながら吹いている、一人取り残され呆然と立ち尽くす私。なぜか自分が映画の一シーンの中にいるように思えた。
ホテルは目の前だ。まずい、早く戻らないと。でも物欲に負けた私。今なら間に合うかもしれない。
急いで店に戻った。買い物をしているうちにとうとうどしゃ降りになった。
しばらく待ったがとてもやみそうもない。

意を決して土砂ぶりの中に店を出た。ああ、それからが大変だった。大雨の中で荷物を持って傘を持っていては地図が見られない。同じ道に戻れない。顔を上げられない。ビルの影になってか、街のどこからでも見られるはずのホテルが見えない。地下鉄工事の柵もわかりにくくさせている。
ホテルに近づいたり遠くなったりして完璧に道に迷ってしまった。
見たことのない市場、見たことのない公園。店の人に聞いてもテンデバラバラ。「遠いからタクシーに乗りなさいよ」。そんなはずはない。黄色の雨合羽を着て通りを歩く家族連れをやっとつかまえた。ホテルを聞くと「僕たち韓国人だからわからない。」韓国人?忘れかけの韓国語で話すと「ソウルからやってきた」という。もっと話してもよかったが、こんなところで油を売っている暇はない。チェックアウトの時間が迫っている。
夫も心配しているだろう。携帯は持っていないから連絡しようがない。
何人かに聞いていたらどこから現れた男性。「ここをまっすぐ行って二つ目で曲がって」と教えてくれる。ありがとうと言って歩き始めると男性がついてきた。「ここですか?」「いや」といって曲がるところまで歩いてくれた。ここまでくれば見たことがある景色。お礼を言って別れた。
ホーチンミンの道路事情はとても悪い。水はけがよくない上に凸凹だ。気をつけていたのだが、とうとう靴の中まで水が入ってしまった。服はずぶ濡れ。ホテルの部屋に戻ったら、夫は心配するどころか、まだ寝ていた。「5時に帰って起こすと言っただろう?」。時間は5時をとっくにまわっていた。
シャワーどころではない。大急ぎでスーツケースをつめた。靴にドライヤーをかけて新聞紙とありったけのティッシュを詰めたが乾かなかった。あきらめてサンダルに替えた。
濡れた靴はそのままスーツケースへ。日本に着いた。靴が乾くのにあと2日必要だった。
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<サイゴンの夜は更ける>
by feliza0930 | 2014-10-09 11:03 | ・TRAVEL | Comments(0)