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ナビのよいところは、知らない場所でも迷わず行けるという点であることは間違いない。

先日、香港から友人夫婦が来た。
彼らは日本の桜を愛でる目的で、3週間京都に滞在した。
「3週間あれば、早く咲いても遅くても大丈夫でしょ?」と日本に来る前、言っていた。
その言葉通り、京都の桜はおろか、奈良吉野、大阪と桜の名所をくまなく見たようだった。今では香港人の彼らの方がよっぽど私より桜の名所に詳しくなっているはずだ。

さて、彼らと京都で待ち合わせした。
行先は桜ではないが、伏見稲荷だ。外国人旅行者No1スポットであるというのは勿論、彼らはチェック済みである。

伏見稲荷の帰りに、月桂冠博物館に寄ることになった。
博物館は最寄駅から少し歩いた所にある。方向音痴の私は地図を見てもよくわからない。
そこでナビ遣いの名人である彼らの後を付いて歩く。香港人である彼らの後ろから、ナビ苦手の日本人である私が付いていく。
「ナビがあれば、どこでも行ける」とナビ片手にあちこち旅行している彼らは言う。
そうだろうな、と私は思う。

でも、でも・・・私は心でつぶやく。
彼らと出会った台湾。彼らに道を聞かれて知り合った。
それから香港で、名古屋で私たちは会っている。
あの時、ナビがあったら、こんな出会いもなかったろうなと。

ホーチミン市内では地下鉄工事が着々と進行中だ。
ホーチンミン市が清水建設、前田建設工業と提携し、4年半後の開通をめざす。地下鉄はベンダイン市場まで開通し、順次路線を広げていく計画である。

テレビ東京系『未来世紀ジパング』ではインドネシアで日本の電車が活用されていると放送していた。古くなった電車が再生されジャカルタを走る。日本の車両は冷房完備、そのため今までは暑さをよけるために車両の上に乗って起きた事故も激減、電車の本数も増え渋滞緩和に役に立っているという番組を見たばかりだった。
ベトナムでも日本の技術が役に立つと思うと誇らしい。
地下鉄が通れば、街の様子は様変わりするだろう。バイクの大群は減るだろうか。車が増えるだろうか。

ホーチンミンで「さくら日本語学校」を見た。日本語検定試験と留学試験の掲示があった。
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<さくら日本語学校>

こぎれいな雑貨店には日本語の達者な店員がいる。「まだまだです」と謙遜して言うが、彼らの日本語は観光客向けの通り一遍ではないとすぐわかる。
聞けば日本語学校に何か月か通い、今なお独学で勉強しているという。教科書は日本語学習のバイブルともいえる『みんなの日本語』というから親近感がわく。
ベトナムは今、空前の日本語ブームだ。ベトナムで、日本で、日本語を学ぶ学生が急増している。
日本語を話す若者が増えてくれば、ベトナムと日本の関係はますます深くなるだろう。
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空港カウンターで帰国便のチェックインを待っていた。前に並んでいる男性(20代後半から30代前半くらい)が何か話したそうにチラチラこちらを見るので「日本に行くのですか」と聞いてみた。
彼は満面の笑みを浮かべ「はい」と言う。大きなスーツケースに沢山の荷物から「お仕事ですか」と聞く。
「はい、沖縄に行きます」。そう言い、頼んでもいないのに就業ビザを嬉しそうに見せてくれる。
「日本語上手ですね、頑張ってください」と言ったら「ありがとうございます。頑張ります」弾んだ声が返ってきた。

こうやって夢を抱いてまた一人若者が日本にやってくる。
旅先ではいつも催し物をチェックする。
幸い、ホテルの前はオペラハウス。ホテルのインフォメーションでいい催しものがないか尋ねて勧められたのがAOショー。伝統的な水上劇と迷っていたらスタッフが「あれはごくありふれたもの」とバサッと斬る。まぁ歴史博物館でチラッと見たし、スルーすることにした。
AOショーは伝統的なものと近代的なものをミックスした竹を使ったパフォーマンスだと説明してくれた。
ホテルを通すと二割引きだと言う。真ん中価格のチケットを予約する。
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開演20分前にはもう人だかりができている。
ロビーではお茶提供があった。ジャスミン茶に生姜の砂糖漬け。ワインバーがあってもよさそうなのに無料接待だ。商売気がない。
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<ロビーでのお茶無料提供>

列に並び案内に従って席に着く。
天井の細工が凝っている。バルコニー席が張り出している。
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思っていたより小さい。これなら一番安い席でもよかったかもとつい主婦根性が働く。
座席番号がなぜか一つ飛びだ。
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ショーが始まった。オープニングから意表を突く演出だ。劇場横の黒いカーテンから出演者が飛び出してくる。竹と竹ざるを駆使したパフォーマンス。シンプルな舞台がかえって想像力をかきたてる。
あっという間の一時間。出演者はロビーに出て記念撮影に応じている。舞台を所狭しと動いて跳んでいたのに驚くほど小柄だ。
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白亜のオペラハウスは夜は更に美しい。
お迎えバスやタクシーが観客が出てくるのを待っている。でも私のホテルは劇場の目の前だ。
さあ、急ごう!急げばラウンジの軽食提供終了時間に間に合う。と、芸術見た後でも主婦根性(笑)。
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●ラップ&ロール
ロック&ロールならぬ『ラップ&ロール』。ベトナムの春巻き店だ。チェーン店?かも。ネーミングのセンスがよい。
一見、カフェのような明るい店内。沢山種類があって迷ったので盛り合わせを二点頼む。思ったより小ぶりで上品。お腹が膨れない。そこでもう一品、卵焼きの上にのった春巻きを夫が追加で頼む。
卵焼きは私好みの関東風の甘い味。これが美味しかった。
一緒に頼んだのが333ビールこと「バババビール」。語感が面白くて笑ってしまう。
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●チェー
いわばベトナム風蜜まめ。緑豆を足してオリジナルチェーを作ってもらった。甘さがほどよい。日本の和菓子も甘さ半分になればいいのにと思う。
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●ベトナム料理レストラン
ホテルのスタッフのお勧めレストラン。ホテルから歩いて10分くらい。
最終日、夫が昼寝の前に下見をしてくれたので迷わずに行けた。かなり大きなお店だった。
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店内は賑わっていた。私たちが席に着いたすぐ後から、カップルが隣のテーブルに座った。日本人のようだったので軽く挨拶をする。だが、女性はベトナム人だった。女性は達者な日本語で男性と話していた。聞けば会社の同僚とのことだった。メニューを見てもさっぱりわからないのでお隣さんにお勧めを聞いてみた。「メニューを見てもわからないでしょう?客席をぐるりと回っておいしそうなのがあれば、ウェイターを呼んで同じものを注文したらいいですよ」とアドバイスしてくれた。店内の周囲はオープンキッチンになっていた。夫はそんな方法でとあまり賛成ではなさそうだったが、せっかく言ってくれたのだからものは試し、私一人で店内をぐるぐる回った。「これがいい」「あれがいい」と何皿かウェイターや調理人に注文した。ウェイターが料理名を書いた紙を渡してくれた。ビールは勿論、バババビール(笑)。
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注文した料理がきた。一皿ははずれだったが、春雨鍋?は当たり。
雨に濡れ風邪をひきそうだったが、体があたたまった。
最後のしめはひなまつりの菱餅のような緑色のお餅にした。お腹いっぱいだったが、ガイドブックに載っていたので食べたかったのだ。ほんのり甘さがやさしい。

お隣のカップルの料理はどれも美味しそうにみえた。

●バタークリームケーキ
今年はベトナム到着の前日が誕生日。
ホテルに予約した際のリクエスト欄の「高層階+静かな部屋+誕生日」にチェックした。勿論、誕生日が前日というのは正直に書きましたよ。ダメもとです。
到着した日の晩、突然ノックする音。ボーイがケーキを運んできた。すっかり忘れていたので驚いた。ケーキはスウィートポテト+マジパンのようなシンプルなものだった。

ホテルから歩いて三分のところにケーキやを見つけた。バタークリームケーキが売っていた。
年に一回、誕生日には食べたいバタークリームケーキ。思いかけずベトナムで食べることができた。
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(時系列全く無視の旅記録です。印象に残った順、思い出した順に書いています。)
戦争証跡博物館を見て、ベンタイン市場に行くことになった。
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<戦争証跡博物館展示より>

昼過ぎに突然降り出した雨は少し小降りになったが、まだまだ降っている。ベトナムの街歩きは大変だ。バイクの洪水でなかなか横断歩道が渡れない上に、道が悪い。そこら中で工事もしている。雨が降っていると近そうに見えるところもなかなか辿り着けない。
人に聞けば親切に道を教えてくれるのだが、結構、適当だ。ワンブロック自体がわかりにくい。
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<雨宿りで入ったホテルの喫茶店>

四つ辻で地図を見ていると寄ってきました。シクロの運転手二人。シクロとは人力車みたいなものだと思ってもらえればよい。
1ドルでペンタイン市場にどうだと言ってくる。トゥクトゥク詐欺がよみがえる。
あやしい、断って歩き出すとどこまでもついてくる。信号待ちになるとピタッと横についておもむろに懐からノートを取り出し見せた。「この人は親切です・・・」みたいな日本語が書いてある。ハイハイありましたね。地球の歩き方かネットに。日本語で書いたノートを出して見せるシクロ運転手に注意と。夫にやめようと合図するのだが、夫はこの雨の中、どれだけかかるかわからないから乗ろうと言う。
午前中、歩き回ったので足も疲れている。不承不承、乗ることにすると、一台のシクロに一人ずつ乗るはめになる。そうか、シクロとは一人乗り。そんなことも知らなかった。
しかしさすがシクロ、車とバイクで渋滞の中をスイスイ。三ブロックくらい走る。確かにこの距離では歩くのは大変だっただろう。途中、シクロから降りて車とバイク洪水の中を歩いてひっぱる。
結構な距離を乗ってベンタイン市場に着いた。

料金を払う段になった。ベトナムのお金の単位はベトナムドンだ。ドルとドンが紛らわしい。また10,000ドンが36円前後と計算しにくい。
デパートでミリオンなんとかといわれるとすぐにいくらかわからない。
シクロの運転手はどう計算しても1ドルではない金額を言い、二台分請求してくる。
携帯電卓で計算するのだが、こっちはテンパっているのですぐにわからない。運転手は料金表を見せてくるので(その時はじめて)それ以上言えない。
しまった、乗る前にしっかり金額を紙に書いてもらうべきだった。

夫が払ったので一体いくらになったのか私はしらない。追及すると、夫が「シクロに乗らなければあの雨の中、市場に行くのは無理だった」と不機嫌になったのでやめた。日本円にしたら大した金額ではなかったかもしれないけど、シクロの運転手のトリッキーな言い方が不愉快になった。

帰りは市場からホテルまで歩いた。シクロにも乗らず傘をさしながら根性で歩いた。途中、店に立ち寄って買い物をした。荷物が増えホテルまでよけい遠く感じた。
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ベトナムは10月まで雨季だと言う。
雨季の雨とは30分くらいザア~っと降ってすぐやむスコールのようなものと勝手に想像していた。

だが、そんな生易しいものではなかった。午前中、参加したクチトンネルツアーの時は快晴だった。
一旦、ホテルに戻り、ホテルの人のお勧めの食堂に行った。その店は地図を見ても絶対たどり着けない路地裏にあった。タクシーで来て正解だった。日本にいるベトナム人が「ベトナムに行ったら絶対食べて」と言っていたバインセオで有名な店のようだった。たいしてきれいなお店ではなかったが、地元の人や欧米人、日本人とおぼしきお客でにぎわっていた。バインセオを焼くおばさんの周りにカメラを持ち構えた人が囲んでいた。
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バインセオはお好み焼きみたいな生地を数種類の野菜でくるんで食べる料理だった。韓国料理のサンパのベトナム版?野菜好きにはたまらない料理だ。お皿いっぱいに盛られた青菜が、野菜不足になりがちな旅行者には特に嬉しい。
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名物『バインセオ』をほおばっていたら、黒い雲がでてきた。空が突然、暗くなった。あ、くるくると思う間もなくザーっと降り出してきた。食堂のお兄さんは店の外の椅子を片付け始める。私たちの座った席には簡単な屋根がついていたが、少しでも雨が振り込まないようにと内側(店側)に移動する。
雨はみるみるうちにどしゃ降りに。雷がゴロゴロ鳴り響く。水はけの悪い路地裏の道路はすぐ水浸し。
どうやって帰ろうか。
日本人マダム二人連れが、席を立った。店主にタクシーを呼んでもらったらしい。
あ、そうか、タクシーで帰ればいいんだ。お店に来てもらえばいいんだ。
ほどなく来たタクシーは優良タクシー。ぼったくられずに無事ホテルに着いた。
雨足は多少は弱まったもののまだまだ降り続いていた。
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ベトナム出発日、飛行機は夜中の12時過ぎだ。
レイトチェックアウトのサービスのお陰で夜6時まで部屋にいれる。
ありがたい、買い物をして荷物を詰めなおし、うまくいけばシャワーも浴びれるかもしれない。
疲れている夫は昼寝をしてもらって私は一人で街歩き。夫がいなければ心置きなくショッピングできる。
地図片手に通りの名前を確認しながら雑貨店&ショッピングセンター巡り。
3時半すぎ。雨はまだ降らない。雨季でも降らない日があるのかなと思いつつホテルに戻ろうとした。でも一軒もう一度寄りたい店がある。さっき、行ったとき買えばよかったのだが、店主なのか中国人らしき人がテンションマックスで激怒していた。店員は皆、押し黙っていた。そんな最悪雰囲気でとてもショッピングはできない。センスの良いオリジナルな品揃えだったにもかかわらず、すぐ店を出た。あの店にもう一度寄りたい。

そう思い始めたとき、突然、空気の流れが変わった。まるで地面の下から吹いてくるような風がでてきた。落ち葉がくるくる回転しながら横に流れる。通りから人がいつの間に消えいる。真っ黒い分厚い雲がどんどん空を覆っていく。目の前にはコロニア建築の教会、高層ビル、街の中心ど真ん中。横風がぐるぐるまわりながら吹いている、一人取り残され呆然と立ち尽くす私。なぜか自分が映画の一シーンの中にいるように思えた。
ホテルは目の前だ。まずい、早く戻らないと。でも物欲に負けた私。今なら間に合うかもしれない。
急いで店に戻った。買い物をしているうちにとうとうどしゃ降りになった。
しばらく待ったがとてもやみそうもない。

意を決して土砂ぶりの中に店を出た。ああ、それからが大変だった。大雨の中で荷物を持って傘を持っていては地図が見られない。同じ道に戻れない。顔を上げられない。ビルの影になってか、街のどこからでも見られるはずのホテルが見えない。地下鉄工事の柵もわかりにくくさせている。
ホテルに近づいたり遠くなったりして完璧に道に迷ってしまった。
見たことのない市場、見たことのない公園。店の人に聞いてもテンデバラバラ。「遠いからタクシーに乗りなさいよ」。そんなはずはない。黄色の雨合羽を着て通りを歩く家族連れをやっとつかまえた。ホテルを聞くと「僕たち韓国人だからわからない。」韓国人?忘れかけの韓国語で話すと「ソウルからやってきた」という。もっと話してもよかったが、こんなところで油を売っている暇はない。チェックアウトの時間が迫っている。
夫も心配しているだろう。携帯は持っていないから連絡しようがない。
何人かに聞いていたらどこから現れた男性。「ここをまっすぐ行って二つ目で曲がって」と教えてくれる。ありがとうと言って歩き始めると男性がついてきた。「ここですか?」「いや」といって曲がるところまで歩いてくれた。ここまでくれば見たことがある景色。お礼を言って別れた。
ホーチンミンの道路事情はとても悪い。水はけがよくない上に凸凹だ。気をつけていたのだが、とうとう靴の中まで水が入ってしまった。服はずぶ濡れ。ホテルの部屋に戻ったら、夫は心配するどころか、まだ寝ていた。「5時に帰って起こすと言っただろう?」。時間は5時をとっくにまわっていた。
シャワーどころではない。大急ぎでスーツケースをつめた。靴にドライヤーをかけて新聞紙とありったけのティッシュを詰めたが乾かなかった。あきらめてサンダルに替えた。
濡れた靴はそのままスーツケースへ。日本に着いた。靴が乾くのにあと2日必要だった。
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<サイゴンの夜は更ける>
何冊かホーチンミンの街歩きガイドブックが出ている。どの本もほとんどのページが「雑貨店巡り」「カフェ巡り」「グルメ情報」で占められている。だが、ベトナムと言えばまずはベトナム戦争ではないだろうか。ベトナム戦争抜きではベトナムは語れない。
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<トンネル入り口>
ホテルでクチトンネル半日ツアーを申し込んだ。バスは三つのホテルで客を拾い1時間半くらいで着いた。
クチトンネルとはクチ県を中心にした200kmの地下トンネルだ。ベトナム戦争中のベトコンの根拠地である。
100メートルばかりトンネルの中を歩いてみた。腰をかがめないと歩けない。真っ暗で幅も狭い。小柄なベトナム人ならではのトンネルだ。大柄のアメリカ兵は入れない。
ガイドは古タイヤで作ったサンダル靴を見せてくれた。サンダルには前後ろがない。足跡からどちら方向に行ったのかアメリカ兵に知られないためにだ。トンネルの入り口は草でカモフラージュなどベトコンの様々な工夫のためにアメリカ兵はクチを攻略することができなかった。
ベトナム人の底力の結晶がクチトンネルともいえる。

ねばり強さはしつこさにもつながる。
ベンタイン市場の物売りのしつこいこと。旅行すると必ずと言っていいほど市場は行ったが、ベンタイン市場のしつこさにはまいった。充満する鼻につく臭いも相まって、商品を見る気も失せ、早々に退散した。
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<春巻きの皮作り>


*『地球の歩き方』はさすがなガイドブックだ。ベトナム人のアイデンティティー、歴史、トラブル症例なども載っていて他のガイドブックとは一線を画している。
宿選びは旅のポイントでもある。
予算と照らし合わせながら選ぶ。迷うのも楽しみの一つだ。アジアの旨みはかなりのレベルのホテルも割安で泊まれるところだ。
今回はコロニアル形式の(フランス統治下の影響)ホテルと非常に立地のよいホテルの二つが候補になった。
少し前に同じホーチンミンを旅行した知人の「古いホテルは水回りが悪いのよ」の一言でコロニアル形式のホテルは却下となった。じゃあ、立地のよいホテルに決定かというとそうすんなりはいかなかった。ロビーやレストランを改装中ということがわかったからだ。工期がいつまでか知りたかった。改装中だと塗装の匂いや騒音が気になるからだ。
9月末まで、と10月中旬までかかるという情報があった。ホテルにメールで直接、尋ねた。「あなたがこちらに来られる頃には改装工事は終わっていますよ。是非、当ホテルにお泊り下さい」という返事がきた。
これ以上ない便利な場所は方向音痴の私には何よりだったので、迷いはなくなり、そこに決定した。
ホテルに着きました。期待を裏切りというか、ある意味予想通りというか改装工事は終わっていませんでした(笑)。
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<ホテルラウンジにて>
帰りの飛行機のチェックインカウンターで「通路側にお願いします」と頼んだ。
係りの人が「はい、通路側二席並びにお取りしましたよ」と言った。
飛行機に乗り込んだ。
通路側席には他の人のカバンが既に置いてあった。
はい、私たちの席はばっちり窓側並びの席でした。
もっとも帰国便は空いていたので、カバンの持ち主はほかの席に移ってくれた。
その席は横並び三席空席だったので結果的には双方によかったのだが。

ホテルの対応に、ベトナム航空の係員の対応。
調子よすぎですよね?
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<ベトナムの中の東京>
ベトナムで一番圧倒されたこと、それはバイクの大群だ。
信号無視、歩行者無視で群れをなして押し寄せてくる。
まるでイナゴの大群のよう、いやヒッチコックの鳥だろうか。恐怖さえ感じるバイクの群れだ。
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二人乗りは当たり前、三人乗りも珍しくはない。四人乗り見たときは驚いた。足元はサンダルだ。
弱気でいるといつまでも道路を渡れない。永遠に立ち尽くす羽目になる。
車が途切れたら、バイクが止まってくれることを信じてそろそろと渡る。決して走ってはいけない。決して立ち止まってはいけない。現地の人の後にピタリとついて同じ速度で渡る。バイクに向かって手をひらひらさせる。ぶつかりそうで心臓がキリキリする。同じようになかなか渡れず歩道に立ち尽くしていた隣の外国人と、思わず顔を見合わせた。
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ベトナムは今、雨季だ。突然激しい雨が降り出してもバイクの大群は消えない。日本ではもう見かけなくなった雨合羽を羽織って走る。ライダーの合羽を後ろの同乗者が頭から被っている。足だけが見える。
ベトナムでは老若男女バイクにまたがる。サドルにぶら下げた買い物袋から出ているストローでジュースを器用に飲みながら走るおばさん。ベトナムの日常だろう。
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私の方向音痴ときたら自慢じゃないが相当なものだ。友人も呆れるほど。
いつも友人に車で連れていってもらう場所に、一人で行かなくてはならない時があった。近くに来ているはずなのに迷ってしまい、先に現地に着いている友人にSOSの電話をした。
「私は今、一体、何処にいるの?」

大きいホテルも苦手だ。いつも渡り廊下をうろうろしてしまう。
こんなひどい音痴は私くらいだろうと思っていたら、世の中には同じような人もいるものだ。
知人があるホテルに泊まった。エレベーターを降りたら左右に客室が分かれているだけのさほど大きなホテルではない。だが、エレベーターを降りる度に知人は右が左か迷ったという。それを聞きあの賢い人もと安心した。
方向音痴とは右脳?左脳のどこかが未発達に違いない。生まれつきのものとずっと諦めていた。

ところが最近、いい話を聞いた。来月、一人でパリを旅する人の話だ。
彼女はいつも旅に出る前から地図を眺めると言う。そうしていると電車や地下鉄の路線図や駅名、道路が頭に入る。ストリートビューでも確かめておく。
前もって地図を頭に入れておくと、現地に着いてはじめて地図を見るのとは大違いだと言う。
お菓子と紅茶の先生でもあるその人はパリの地図を見せてくれた。地図には道順に色マジック、お店にはマークがあった。「地下鉄の~線に乗ってこの通りを歩いてこの店で〇〇を〇個買って、この角を右に曲がってこの店で**を買って、・・・・ホテルに戻って中庭のあるテーブルに買ったお菓子を並べ食べ比べする」。
ストリートビューは私なんかは行ったときの楽しみがなくなるのではと思うのだが、そんなこともないらしい。「(ストリートビューが古い情報だと)あ、この店、つぶれている、とか、あ、あったあった。ストリートビューと同じ」と確認するのが楽しいらしい。

ストリートビューはともかくとして、駅名が既に頭に入っていると効率がよいのはわかる。旅行には時間が限られているからだ。
その昔、エルミタージュ美術館に行こうとして、駅から真逆方向にどんどん行き、1時間以上無駄にしたことを思い出した。人に聞くにもなかなか英語が通じなかった。ロシアなんて滅多に行けないところだ。
あの時間惜しいことしたなぁ・・・

方向音痴の私は地図を見るのを最初からあきらめてしまう。でもこれからはもっと地図と仲良くしよう。行く前から地図を眺める習慣をつけよう。そうすれば方向音痴も少しは改善されるかもしれない、そう思うとなんだか未来が開けてきたような気がする。
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