<   2013年 10月 ( 3 )   > この月の画像一覧

こごえるような寒さ、厳しい自然でさえ美しい。
夫がいなくなった現在は白黒。
恋していた過去はカラー。色分けで心情を表すファンタジー映画だ。

先生が突然、町に連れて行かれた理由、
2年後、山に戻って来た理由、
少女と先生の村人の噂(ちょっとはあったけど)
身分違いの恋がなぜ成就したか
結婚生活、子供の誕生
ほとんど説明がない。

18歳の少女を演じているのはチャン・ツィイー。中華圏随一の美人女優だ。
おさげ髪、赤い上っ張りがよく似合う。
おそらく当時の実年齢より下だろう。。
少女らしくするための走り方や表情にさすが女優!
完璧な役作りに「あざとさ」さえ感じてしまう。
女は女に厳しいのだ(笑)。

正直なところ、私は少女のキャラがこわい。
一途な愛とストーカーは紙一重。
偶然を装う度重なる待ち伏せ。
遠くから先生の姿をじっと見守る。
悪天候、しかも高熱が出ているのに、町にいる先生を探しにいく。
周りの迷惑を考えない激しい思い込み。
村一番の可憐な美少女だから若い先生も恋に落ちたけど
これが不細工な、いや普通の容姿の少女だとしたら、先生はどう思うのだろうか。

結婚して40年。妻は夫(先生)を尊敬し続け、生徒に朗読する声に聞き惚れる。
夫は妻が心配で片時も離れない・・・
これこそ”ファンタジーの極み”でなくて何だろうか?
きっと、うまくいく』、一体、どれだけの人に勧めたことだろう。そのうち何人か映画館に足を運んでくれた。
初めは「インド映画?踊るんでしょ?やたら長いんでしょ?」という反応だった友人も、見た後は口を揃えて「すごくいい映画だった」と絶賛した。
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私といえばすっかりインド映画の虜になり、インドに行きたい、インドをこの目で見てみたいという気持ちにまでなってしまった。

思い起こせば数年前、当時、インド在住だった友人に誘われビザまで取りかけたが、「気温45度」と聞いて行く気が萎え、家族の反対もあり取りやめた。
もう少し涼しくなってからと思ったが、ほどなく友人は帰国してしまった。
インドへ行くチャンスはもう巡ってこなかった。そう、チャンスの神様は前髪しかなかったのだ。
ところがこの夏、同じ友人からの誘いがあった。「インドに行ってみない?」
今はインドに単身赴任しているご主人を訪ねるので、よかったら一緒にというのだった。

予定が立て込んでいてかなり厳しい日程だったが、この機会を逃すともう一生行けないかもしれない。なんとか行けるようにしよう!そう、今こそインドに行くその時がきたのだ、そう思った。
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お年寄りメインの話はどうしても絵的に地味になる。少し見てそのまま放置していた。
映画通の友人は「タイトルからハートウォーミングな話と思うかもしれないけど、結構シリアスな映画」
と言う。
冒頭部分でもそういう感じはあったが、続きを見たらなるほどその通りだった。
夫が亡くなり、悲しみに暮れている未亡人が昔の夢を思い出す。
仲間の助けを得てランジェリーショップを開こうとする。だが、立ち阻む世間の偏見、仲間の死、子供たちからの「いい年しているのだから・・・」と反対。
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<(C)2006 Buena Vista International (Switzerland)>


スイス映画だ。
歓びを歌にのせて』のスウェーデン映画もそうだが、舞台は自然が美しい牧歌的な風景。しかしよそ者や違った考えを受け入れない閉鎖的社会。村では噂が飛び交い、男尊女卑が残る。
組-町-自治会。防災の時は発揮するけど、家族構成、仕事、互いの住民の頭にはデーターベースが入っている。日本の社会が息苦しい時もある。
田舎に行くほどデーターベース項目は細部にわたる。他者をよせつけない排他性がいやだ、いやだ。
だが、ムラ社会は日本だけじゃないようだ。

偽善的な聖職者は『歓びを歌にのせて』にも出てきた。マルタの息子も牧師。妻を裏切り不倫をしている。北ヨーロッパの映画は聖職者の偽善を描くのにタブーはない?!。

北ヨーロッパのムラ社会は合唱団と手芸がつきもの。
但しこの映画では合唱団は添え物。老女の自立がテーマだ。世間や子供たちの妨害にくじけそうになるが、運転免許をとり、刺繍で付加価値をつけ、ネット販売に商売の活路を見出す老女たち。
実は私、最近、「今まで何やっていたのだろう私・・・。あれこれ手を出すのに何一つモノにできず中途半端」と落ち込んでいた。

でもこの映画で教えられた。
「何かをはじめるのに遅いことはない」
聞き慣れたベタな教訓だが、映像で見ると本当にそう思えてくる。

ランジェリーショップを執拗に反対していた息子は母親に「自分の問題も片付いていないのにえらそうに言えるわけ?」と逆襲される。牧師は勇気をだし妻に別れ話を切りだす。妻は家を出る。息子はその足でランジェリーショップに向かい、持ち出したのはマルタの作った合唱団の旗だった。斬新すぎるデザインが却下された旗だが、今や母を誇りに思う息子はこの旗をつかってくれと団長に頼む。合唱祭で掲げられたその旗は歌をのせて美しい山村になびく。

ネット販売で大成功をおさめ、マスコミにも取り上げられマルタの店頭には連日客が押し寄せる。
爽やかな風が吹く野原でマルタと友人、三人でカード遊びに興じている。マルタは空を見上げる。真っ青な空の向こうから、急死した友人がカードをのぞいているようだ。

最初はちょっと退屈、でもだんだん面白くなって最後は勇気をもらう
地味だけどなかなか味のある映画だった。
「お勧め」とDVDを貸してくれた友人に感謝だ。