ナビのよいところは、知らない場所でも迷わず行けるという点であることは間違いない。

先日、香港から友人夫婦が来た。
彼らは日本の桜を愛でる目的で、3週間京都に滞在した。
「3週間あれば、早く咲いても遅くても大丈夫でしょ?」と日本に来る前、言っていた。
その言葉通り、京都の桜はおろか、奈良吉野、大阪と桜の名所をくまなく見たようだった。今では香港人の彼らの方がよっぽど私より桜の名所に詳しくなっているはずだ。

さて、彼らと京都で待ち合わせした。
行先は桜ではないが、伏見稲荷だ。外国人旅行者No1スポットであるというのは勿論、彼らはチェック済みである。

伏見稲荷の帰りに、月桂冠博物館に寄ることになった。
博物館は最寄駅から少し歩いた所にある。方向音痴の私は地図を見てもよくわからない。
そこでナビ遣いの名人である彼らの後を付いて歩く。香港人である彼らの後ろから、ナビ苦手の日本人である私が付いていく。
「ナビがあれば、どこでも行ける」とナビ片手にあちこち旅行している彼らは言う。
そうだろうな、と私は思う。

でも、でも・・・私は心でつぶやく。
彼らと出会った台湾。彼らに道を聞かれて知り合った。
それから香港で、名古屋で私たちは会っている。
あの時、ナビがあったら、こんな出会いもなかったろうなと。

「今でしょ!」は去年の流行語。でも、「今」って一体いつ?
「今の電車」は今、乗っている電車ではない。降りたばかりの電車か、目の前を通り過ぎた電車。
この「今」はちょっと前の「さっき」、つまり過去。「今、来るよ」の「今」は「これからすぐ」の未来。
過去の今に、今の今に、未来の今。今がこんなにあるなんて、今、気づきました。001.gif
「のに」を教えた。練習として「暇なのに」の続きを学生に書いてもらう。
「暇なのに、勉強したくない。」うん、これはOK。私もよくわかる。この気持ち。
次に「暇なのに、勉強する。」
う~ん、文法的には間違っていないが、意味がおかしい。「のに」の意味がまだ理解できていないのかなと思い×をつけようとしたが、念のために同僚に聞いてみた。
「あ、それ子供と同じ発想ね」と四人の子供の母の彼女は言う。
(暇な時間は勉強する時間ではない)という前提で生まれる文だと説明してくれた。

意味が通じない作文があったら、後で「どうしてこう書いたの?」
と彼女は学生に聞くと言う。
聞いていくと文化や考え方の違いがわかってくるらしい。
なるほど。まだまだです。私。
授業中、いつも賑やかなスリランカの学生たち。今日は一段とおしゃべりの声が高い。
後ろの席を向いて、四人でずっと話している。
何度、注意してもやめない。
いつもは優しい(?)私も、つい声を荒げる。
「一体、どうしたんですか。おしゃべりは授業が終わってからにしてください」。
すると一人の学生がスマホを見せ「スリランカで大統領選挙があったんです。」
「今、開票の途中で・・・。新しい大統領になりそうなんです」(まだ彼らは来日半年なので、彼らの話を総合して)「新しい大統領はムスリムの人たちが推しています」「スリランカにはイスラムの人が多いの?」と流れで質問する。「多くないですけど、力があるので・・」「で、あなたたちは日本から選挙できるの?」「できません。でもスリランカがこれからどうなるか心配で。」
母国を憂いている彼らに感心するが、「わかりました。でも続きはあとにしてね」

でも、私は考える。日本の学生が留学するとする。彼らは異国の地で、総選挙の行方を同胞と熱く語るだろうか。自民党が政権とろうが、民主党になろうが大して変わらない、そう思うのではないか。いや、総選挙の日さえ頭にない学生も多かろう。
留学生のことは言えない。この間の選挙の投票率は国民の関心の低さを表している!

スリランカの政治は生活に密着している。ムスリムが支持する候補者が政権を握れば、生活がガラっと変わる。極端に言えば命にかかわるかもしれないのだ。

裏を返せば、日本は平和ということ。

休み時間、また別のスリランカの学生たちが集まり、スマホ片手に熱くしゃべっていた。
ホーチミン市内では地下鉄工事が着々と進行中だ。
ホーチンミン市が清水建設、前田建設工業と提携し、4年半後の開通をめざす。地下鉄はベンダイン市場まで開通し、順次路線を広げていく計画である。

テレビ東京系『未来世紀ジパング』ではインドネシアで日本の電車が活用されていると放送していた。古くなった電車が再生されジャカルタを走る。日本の車両は冷房完備、そのため今までは暑さをよけるために車両の上に乗って起きた事故も激減、電車の本数も増え渋滞緩和に役に立っているという番組を見たばかりだった。
ベトナムでも日本の技術が役に立つと思うと誇らしい。
地下鉄が通れば、街の様子は様変わりするだろう。バイクの大群は減るだろうか。車が増えるだろうか。

ホーチンミンで「さくら日本語学校」を見た。日本語検定試験と留学試験の掲示があった。
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<さくら日本語学校>

こぎれいな雑貨店には日本語の達者な店員がいる。「まだまだです」と謙遜して言うが、彼らの日本語は観光客向けの通り一遍ではないとすぐわかる。
聞けば日本語学校に何か月か通い、今なお独学で勉強しているという。教科書は日本語学習のバイブルともいえる『みんなの日本語』というから親近感がわく。
ベトナムは今、空前の日本語ブームだ。ベトナムで、日本で、日本語を学ぶ学生が急増している。
日本語を話す若者が増えてくれば、ベトナムと日本の関係はますます深くなるだろう。
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空港カウンターで帰国便のチェックインを待っていた。前に並んでいる男性(20代後半から30代前半くらい)が何か話したそうにチラチラこちらを見るので「日本に行くのですか」と聞いてみた。
彼は満面の笑みを浮かべ「はい」と言う。大きなスーツケースに沢山の荷物から「お仕事ですか」と聞く。
「はい、沖縄に行きます」。そう言い、頼んでもいないのに就業ビザを嬉しそうに見せてくれる。
「日本語上手ですね、頑張ってください」と言ったら「ありがとうございます。頑張ります」弾んだ声が返ってきた。

こうやって夢を抱いてまた一人若者が日本にやってくる。