インド映画愛好家としては見逃すことはできない。コロナ禍の中、わざわざ1時間近く電車に乗り、おっかなびっくりでミニシアターまで出向いた。でも心配はいらなかった。入口で消毒液、一席ずつ飛ばした席、万全の予防だったが、観客数はほんの数人。密になっているよりはいいが、少し拍子抜けした。
『きっと、うまくいく』『きっと、つよくなる』そして『きっと、またあえる』。少々安易すぎる邦題。インド映画には「きっと、」をつけなければならない決まりでも
あるのかと思ってしまう。特にこの映画は学園もの、『きっと、うまくいく』の二番煎じの予感・・・があったが、そうではなかった。
親世代と子供との二重に話が進む構造。
目標の大学に滑り自殺未遂し、息子は重傷を負う。父は「息子にプレッシャーを与えていた。私が間違っていた。何もいらない、息子さえ助かってくれれば」。
意識がない息子に、自分の落ちこぼれだった学生時代を話す、寮の仲間も駆けつけて話に加わる。意識を取り戻した息子はベッドの中で耳を傾ける。
「他人に負けることより自分に負けることのほうが苦しい。最善を尽くしたのなら、失敗は悪いことではない」と。
手術は無事成功し、翌年、息子は多分、身の丈に合った大学に入る。大学の門をくぐると、向こうには父親と仲間たちが若い姿となって息子に頑張れとエールを送る。
『きっと、うまくいく』には適わないが、なかなかいい映画ではないか。
パンフレットを買い求めた。衝撃が走った。主演俳優が日本公開前に自殺していた。
この映画で命より大切なものはないと言っていたではないか。役と本人は別物と頭ではわかっているが、残念で仕方がない。
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by feliza0930
| 2020-09-16 20:01
| ・MOVIE