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昨年度、愛知女性映画祭の出品作品『English Vinglish』。
この夏『マダム・イン・ニューヨーク』とお洒落なタイトルになって戻ってきた。
(個人的には『English Vinglish』の方が好きだが。)
インドの中流家庭の奥様シャシが、ニューヨークにいる親戚の結婚式に出席するために家族より一足早くアメリカへ。シャシは英語が苦手。そのため家庭でも夫や娘に軽く見られている。
カフェでうまく注文ができず、黒人の店員から小ばかにされるあたりは、こちらもわかるわかる。
誰でも異国の旅先で、多かれ少なかれそうい経験はあるのではないか。
私にもある。香港の某ホテル。念願のアフタヌーンティーセットを頼んでみたものの注文システムがよくわからず何度も聞き直す。アジア人のウェイターの口元に浮かんだ小ばかにした表情、見逃すことはできなかった。言葉の不自由な外国人に全ての人が親切だとは限らない。

壮大なロケや派手さはないけど、心情が丁寧に描かれている。
専業主婦シャシが異国でオドオドしながら4週間集中英語スクールの初級クラスへ。フレンドリーな先生、国も様々な個性豊かなクラスメートと学んでいくうちに英語が楽しくなってくる。
シャシは「国の名前にtheがつかないならどうしてアメリカはthe United Statesなのですか。」と質問する。先生は「Good question!」と言う。授業後、同級生から「先生、シャシの質問に驚いていたね。」と褒められ自信がついていく。先生に誉められると嬉しい気持ち、それもすごくわかる。
かつて私は韓国語を習っていた。授業で「「ようだ」を使った文を作りなさい」と先生に言われた。私は当てられて「おじいさんが亡くなって犬も泣いているようだ」と答えた。
すると先生は「びっくりしました。(文学的で)いい文です」と言う。その時の誇らしかった気持ち、褒められた文とともに今もはっきり覚えている。ああ、その時の感動を忘れず、勉強続けていたらよかったのだが・・・・。

シャシは英語にはまっていくにつれ、次第に家族のことがおろそかになるのも主婦にありがち。
バランス感覚がないので一旦夢中になると家事がおろそかになり、料理も手抜きになっていく。気づくと部屋もくちゃくちゃ。
でも彼女は偉い!主婦の鏡!自己嫌悪に陥って反省する。もと自分がいた場所「妻であり母であることに戻ろう」と気持ちを立て直す。
でもやはりどこかであきらめきれないシャシ。クラスメートの励ましもあって、せめてスピーチテストだけでも受けようとする。
姪の結婚式のためにシャシはお菓子ラドゥを準備する。ところが結婚式当日の朝、息子がラドゥを落としてしまう。うわぁあ!上手い話運び。先が読めなくなってそうきたかです。作り直そうとするシャシはスピーチテストを受けるのをとうとうあきらめる。
結婚式が始まる。驚いたことに英語クラスのクラスメートと先生もやってくる。シャシは姪に促されスピーチする羽目に。
夫は「妻は英語が苦手だから」と言いかける。が、彼女は夫の手を軽く押さえ立ち上がりスピーチをし始める。
・・・・・
ラドゥ作りの得意な妻への褒め言葉のつもりだろうが「妻はラドゥつくるために生まれてきたのさ」と夫に言われ傷つくシャシ。娘に「どうせママは英語読めないくせに」とあたられ、子供は親に尊厳をもつべきだと憤慨するシャシ・・・

実は私はこの映画は一度目は友人からもらったDVD(英語版)で見たのだが、シャシの感動的なスピーチに号泣してしまった。再生ストップし、わからない単語を辞書をひくのももどかしかったので、ざっくり理解にもかかわらずだ。
拙くても自分の言葉で話し始めるシャシ。対等な夫婦の関係、家族でも尊厳を守ること、家族の大切さを切々と訴えるスピーチに、今までの自分たちのシャシへの言動を思いおこしハッとする夫と娘。
クラスメートたちは立ち上がって拍手する。おしとやかなシャシもガッツポーズ!

妻として、母としての尊厳を取り戻したシャシ。
英語はきっかけだ。一歩踏み出して自信をもつ。そうすれば自分が変わる。
『マダム・イン・パリ』は主婦なら共感ポイントがたくさんある。
言葉を学ぶ人も教える人にとってもだ。
「異国で言葉が通じないとはどういうことか」も気づかせてくれる。

結婚式なら踊りも歌も自然だ。帰りの飛行機の中の夫婦で交わす視線がいい。
映画の中のインド女性はいつも貞淑だ。「よき妻であれ、よき母であれ」価値観が根強いようにみえる。イケメンお兄さんが出てきても決してよろめかない(笑)。
しかし最近はインド映画の中の女性も少しずつ変わってきているのかもしれないなと思った。

見に行った友達によると上映後、拍手が起きたそうだ。
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<映画.comより>
映画を見ようと決めたら、映画情報はなるべくシャットする。ましてや『スチューデント・オブ・ザ・イヤー』はノーマークだった。NHK『あさイチ』で紹介されたという友達からの情報だけだった。
感想を書こうと決めたなら、映画レビューや他の人のblogをなるべく見ない。書いた後でチェックする。今回はパンフレットも買わなかった。

「村出身」としきりに言う奨学生アビ。家はどんなにボロいかと思えば、親戚宅と言えどもそこそこの邸宅だ。アビはアルバイトにあくせくしているふうでもない。学生生活を謳歌している。ことごとく金持ち、貧乏の対比を描いた『きっと、うまくいく』とは違う世界観がそこにある。
アビが加わり、弱小チームが勝つサッカーシーンは世界基準の学園もの。ワールドカップに向けた話題アピールだろうか。

スチューデント・オブ・ザ・イヤー”(その年の最優秀学生)はIQテスト⇒四人一組のクイズ⇒ダンス⇒トライアスロン(水泳⇒自転車⇒長距離走)で選ぶ。
IQテストは??だったが、チームでキャンパス内を駆け巡りながら解いていくクイズ場面は、スピード感がありとても面白かった。私はこの映画のハイライトシーンの一つだと思う。『きっと、うまくいく』の出産場面のようにハラハラドキドキした。肉体と肉体がぶつかりあうトライアスロンも見ごたえがあった。ゴール間近のロハンとアビの抜きつ抜かれつデッドヒート、どちらが勝つか固唾を飲んだ。

一人の学生は校長の自己満足のコンテストだと糾弾していたが、青春の一ページとしては悪くはないイベントではないか。コンテスト批判は『きっとうまくいく』の詰め込み教育批判に比べると、ちと弱い。『きっとうまくいく』ではよくぞ言ったと喝采したが、この映画では戸惑いと後味の悪さが残った。友情が壊れたのはコンテストの競争のせいというより、ロハンとアビの間をふらふらする、どっちつかずのシャナーヤの罪作りな態度が大きい。

インド映画定番の群舞と歌、金持ち豪邸。ロハンの兄が結婚式を挙げたタイのリゾートにはセレブ感がいっぱいだ。息を引き取る前に校長先生は生徒に許しを請う。ロハンとアビの友情復活ラストシーンに思わず涙がこぼれた。
「ああ!面白かった。」いっぱい詰め込んだ140分!心配していたが、トイレに行きたくならず(笑)長さを感じなかった。

でも涙を流しても感じられないカタルシス。どこか拭い去れない違和感。インド要素の不足。私はそれはインド映画の進化、グローバル化のせいだと思った。脆い友情、家族愛の不在は現代社会の抱えるもの。

しかし私はようやくわかったのだ。違和感の元が。あるblogを読み全てが腑に落ちた。
監督には同性愛の噂があると言う。
執拗に、舐めるようなカメラ視線の先は、鍛え上げた逆三角形の上半身。汗がほとばしる縦割りした筋肉。マッチョな体を別に~と思う私だが、ある一定の人にはたまらないシーンだろう。
それに反し、ヒロインはと言えば日本人男性が好みそうな幼い顔。ほら、日本人男性って一般的に好きじゃないですか、成熟した女性より可愛いひと。
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胸も薄い。ヒロインの友達の母親は言う。「バストアップのパットは入れたの?」
インド映画のヒロインはメリハリボディに彫の深いお顔が多い。
監督がゲイならこういう薄い、可愛い系ヒロインを選んだのも頷ける。
校長はサッカーコーチに色目を使っている。コーチには家庭があるのでその気がないのだが、インド映画では珍しい設定だ(と思う)。少なくとも私は初めて見た。
見終った後、友達に聞いた「ねぇ、インドでは同性愛ってどうなの?」「タブーだよ」。
敵対していたアビとロハンはサッカーの試合をきっかけに急速に仲が進展、大親友になる。「ハグはしないぞ」「キスはしないぞ」何度と繰り返されるこの台詞が、かなりしつこかった。
同性愛者の友情は恋愛との境界があいまいなのだろうか。延長線上にあるのだろうか。

仲間間の友情はいびつだった。力ある者とパシリの上下関係二組。
コンテストのせいで仲間の友情が壊れたと叫ばれても、そんなに熱い友情で結ばれたっけと首を傾げる。確かにチームを組みクイズ問題と格闘する場面に友情はあるにはあったが。
印象に残るはアビとロハン間の”反発→ベタベタ(まるで恋人同士のよう)→絶交”と変化する極端な関係のみ。『きっとうまくいく』の強い強い信頼で結ばれた友情と180度種類が違う。
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そして最大の違和感はロハンと父親の関係だ。父親は優秀な兄を偏愛。ロハはギターを弾くぼんくら息子と軽んじている。ロハンは父親に反発しているが、いつも力でねじ伏せられてしまう。
あろうことか父親はコンテストでアビが優勝することを願う。

ロハンはアビとゴール寸前まで競り合い、ロハンは勝つ。しかしロハンは『スチューデント・オブ・ザ・イヤー』賞を辞退し、父とは絶縁する。

そして10年後、再会した彼らに流れる不穏な空気。ついに殴り合いをする二人、止めようとする仲間に「やらせなさいよ。膿をださせましょう」という別の仲間。
アビは叫ぶ「お前が怒っているのはシャナーヤのせいだけではないだろう」。
ロハンは「お前はゴールでわざと負けただろう。」アビは言う「お前のお父さんが、お前が勝ちそうになったらガッカリしているのが見えたんだ。お前のお父さんを尊敬していた。だが、尊敬は崩れたんだ。父親なのに息子に負けてほしいと願うなんて。だからこっちがわざと負けてやれと思ったのさ」。
息子が勝つことを喜ばない父親がいるのだろうか。しかし映画ではロハンは父親と絶縁したままだ。

監督が同性愛だとしたら、そして父親がいまだに許していないとしたら全ての謎が解ける。この映画の女性は受身だ。何の行動も起こさない。母親は息子を愛しつつも夫の陰でおろおろしているだけだ。昔のインド映画に戻ったみたいな女性の描き方だ。
男性のみ成功へ繋がるタフさが求められている。
この映画は監督の求めてやまない父親への愛の逆説メッセージなのかもしれない。

男の、父親への想いは女の私には理解できにくいものだ。
舅は数年前に亡くなった。だが、夫はいまだに父を引きずっているようにみえる。
尊敬できる父親を持つ友人や知人を羨ましがっている。

インド映画にいつもステレオタイプの”インドらしさ”があるとは限らない。
一見、お気楽学園映画のようにみえるこの映画だが、”らしくない”と感じた違和感、つきつめていくとなかなか奥が深そうだ。
<画像は映画.comより>
スポ魂ドラマ『アタックNo1』、はたまたタイのおかま映画『アタック ナンバーハーフ』のようなタイトル!これがインド映画だとは誰も思わないだろう。
インドに住んでいた友人と見に行った。お陰でロケ地&俳優解説付きとなった(^^)。

病で倒れた初老の男性。男性は高校の学園長、危篤と聞き、病院に駆け付けたのはかつての生徒たち。彼らはカメラに向かって一人、一人語り始める。10年前に起きたこと。

全ての生徒からナンバーワンを決定するコンテストが行われる聖テレーザ学園。生徒たちがナンバーワンになろうとスポーツや勉強に励む中、優勝を有力視されているのが、ロックスター志望のロハン。だが、頭脳明晰でスポーツ万能、ダンスもプロ並みというアビが転校してくる。何かと対立するロハンとアビだったが、次第に良きライバルとして認め合うように。しかし、ロハンの恋人シャナーヤとアビが近づいたことから思わぬ事態が起きる・・・
(Yahoo映画解説より)

まるでアメリカ人気学園ドラマ『glee』を見ているようなストーリーに演出。
『きっとうまくいく』からもはや数年たっている。『ラガーン』は既に遠い昔のインド映画。出てくるスポーツはクリケットではない。サッカーにトライアスロン。
派手なディスコシーン、誰も民族衣装は着ていない。
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<映画.com>

『冬のソナタ』の舞台になった南怡島(ナミソン)を彷彿させる並木道のシーン。『きっとうまくいく』+『glee』に韓ドラ三角関係成分。どこかで見たシーン、どこかで聞いた音楽・・・
と思いきや・・・やられました。大反転の”人間ドラマ”が待っていた!さすが、侮れないボリウッド!

インド映画と言えば、熱くるしいほどの友情に親子の情が定番。
ところが『きっとうまくいく』の3idiotsたちの友情とは異質。脆さをはらむ友情にリアルさを感じる。
コンテストで露わになるむき出しの対抗心、嫉妬に侮蔑。
コンテストは校長の自己満足に過ぎず、築き上げた友情も破綻したと表彰式で紛糾する一人の生徒。お祝いの会場にザラザラとした空気が流れる。
時がたつ。校長危篤の報せを聞き、駆け付けた彼ら。友との久々の再会。複雑な想いを引きずったままの彼らはどうしてこうなってしまったかと振り返る。
そこに現れたロハンとアビ。アビは妻となったシャナーヤを伴っている。仲間に、二人に緊張が走る。ロハンとナビはとうとう殴り合いに・・・そして初めて明らかになる真実!
復活した友情に対し、ロハンは父と縁の切れたままだ。父はなぜロハンを嫌っていたのか、救いのない父息子の関係は母親でさえも修復できなかった。アビはなぜ親戚から疎まれたか説明はなかった。たった一人の味方である祖母を失い、孤独なアビは殻に閉じこもる。
『スチューデント・オブ・ザ・イヤー』には、『家族の四季』にはあった「家族の再構成」がない。家庭愛の不毛は現代社会が抱える問題だ。


家族愛、近すぎるほどの人間の距離をもはやインド映画は描こうとしないのか。インド社会が変わりつつあるのか、インド映画が進化したのか。
”インドらしさ”を表すのが、音楽と踊りだけでは勿体ないような気がする。


*アビが平井賢、監督が加山雄三にそっくりで「平井賢、頑張れ」「来る、来る、加山雄三」とつい脳内変換してしまった(笑)。
それはお土産選び。
もう二度と来れないかもしれない旅先、"迷うなら買おう”。
しかし、持って帰るには重いかな、かさばるかも、日本で使えるかなと迷い始めるともうダメ。もう少し考えて欲しいと思ったら後で寄ろうと思うのだが、後になると疲れている。大抵の場合は寄らない。それで「ああ、買えばよかった。(日本で買うことを思えば)大した金額じゃなかったのに」といつも後悔するのだった。

タイのウィークエンドマーケットでもそうだった。
ガラス製のヤモリのペンダントが売っていた。クリアな緑色がきれいだった。大量生産品でないアートなかんじがよい。日本円で1.000円もしなかったと思う。
娘に買ってやろうかと思って夫に聞いた。夫の趣味に合わなかったのだろう。「もう少し考えて後で寄ったら」と言った。
マーケットを見て歩いた。やっぱりさっきのペンダントを買おう!そう思い先ほどの店に戻ろうとした。だが迷い込んだら最後。ここではないと戻っては引き返す、何度、繰り返しただろう。とうとう店が見つからずあきらめた。
ヤモリはアジアでは家を守る幸福の印だという。
実際、買ってきても娘はあまり身につけなかったかもしれない。でも買えなかったヤモリのペンダントは私の記憶の中で今もキラキラと輝いている。

友人とショッピングモールに行く。
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インドの女性は大きなショールをよく羽織っている。
最近は日本もマフラーよりショールが流行っているのか、ショール売り場の面積が大きくなっている。だがインドの品揃えには到底かなわない。
壁面いっぱいにズラ~っと陳列されているショールは壮観だ。
無地、刺繍、柄物・・・。いいものは値段もそれなりに高い。それでも日本で買うより安いのだろう。でもあまりにありすぎて選べない。インドで一枚くらいショールが買いたいと思ったが、結局、買えなかった。
日本に戻ってから地元の馴染みのお店でショールを買った。選んだショールは『Made In India』だった。

ショッピングモールには他に二点、気になるものがあったが、かさばると思い直しやっぱり買うのをやめた。


あの時どうして買わなかったのだろう。荷物なんていっときのことだったのに・・・とインドから帰ってしばらくは頭の中でそればっか(笑)・・・の私はマティリアルガールだ。
そうだ!ラッキーなことに友人のご主人がまだインドにみえる。厚かましいと思ったが、友人を通してご主人に頼んで買ってもらった。
即決力がなかったために買いそこなったお土産は、もうすぐご主人のスーツケースに入ってやってくる。

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<お店のインテリア>
「ゴールデントライアングルって知っている?」と友人が聞く。
「タイやミャンマーあたりの麻薬密造地帯でしょ?で、それが何か???」と私。
「そうじゃなくって、インドの三大観光地。デリーにジャイプールにアグラのこと」

インドに行くにあたって、友人がいろいろプランを練ってくれる。
ジャイプールをどの日程に入れるかで頭を悩ましているらしい。
聞けばジャイプールは車で6時間、混んでいればそれ以上かかると言う。
しかも午前中、象さんタクシーに乗るにはジャイプールで泊まらないといけない、あれをこうするとこれがダメでとか・・・
インドの事情がわからないのでお任せするしかないのだが、わずかな日程で車移動が多いのは、時間が勿体ない気がする。それに観光地巡りだけでは普通のツアーと同じだ。

「じゃあ、ジャイプールは諦めて・・・ボリウッドテーマパークが近くにあるけど、そこはどう?でもすごくマニアックだけど。」と友人。
私は二つ返事で「いい、いい。そこがいい。マニアック大好き!名所はタージマハールさえ行けたら満足。ボリウッドテーマパーク行きた~い。」となって決定したボリウッドテーマパーク行きだった。

友人によるとテーマパークにはミュージカル劇場や映画館、ショッピングセンターやレストランもあるとのこと。ミュージカルを見たいと言う私の希望で、友人のご主人がチケットを予約してくれることになった。
友人はせっかくだから現代劇、古典劇、両方見ようと提案する。映画でさえ何十年の間、二本立てを見たことがないが、今度いつインドに行けるかわからない。
二本見ることになった。

今回の旅行タイトルが決定した。旅行会社の広告ふうにいうと(笑)
「友達と行くインド、迫力のボリウッドミュージカルと白亜に輝く世界遺産タージマハール」である。

テーマパークは全天候型であった。
全天候型施設とはお台場のビーナスフォートとか、マカオのホテルヴェネチアンとか、天井が空の色に塗ってあるアレである。両方とも行ったことはないが、いつまでも真っ青な空なので今、何時なのかわからなくなる空間だ。入場料を払って中に入る。
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開演までインド民芸品ショップをひやかして、いよいよ一回目のミュージカル鑑賞。
『JHUMROO』
あらすじ:広告代理店に勤めるBholaは父親と住んでいる。彼には夢が二つあった。一つは歌手になること、だが歌の才能と思っている父親は反対している。
もう一つは同僚のMeenaに愛を告白することだった。
Bholaは歌のチャンピョン大会に出場する。果たして・・・
・・・公式あらすじを前夜、頭に入れておいた。

ミュージカルはヒンズー語、日本語はおろか英語のイヤホンもない。
ステージど真ん中、総本革張り、ふかふかのスペシャルシート、座り心地が素晴らしい。セレブ気分で鑑賞する。
明らかに音痴なBholaが雷にうたれたように電流が走ると美声になり、また電流で音痴となる、そんな場面が繰り返された。言葉はわからなくてもそのくらいはわかる。
客席には家族連れも目立つ。
ラストは出演者が客席に降りてきて踊りに誘う。手を差し出されると恥ずかしいなと身を固くしていたが(笑)、そんな心配は全然なく私の横を通り過ぎていった。

フードコートで食事をして夜の劇に備える。
開演を待つお客には昼には見かけなかったサリー姿の女性もチラホラ。スペインからとおぼしき団体客も何列か陣取っている。そのためだろう。今度こそ日本語で聞けそうと期待していたイヤホンが全部出はらっていた。またしてもチンプンカンプン、ヒンズー語で鑑賞する。人気演目だけあって見渡せばほとんど満席である。

『ZANGOORA』
あらすじ:王子として生まれたザングーラは父親の暗殺で敵から身を隠すため、ジプシーの家族に預けられ成人をする。その自分の出生に気づき、父を暗殺した相手と出会う、そのとき彼は・・・

インド初のオリジナルミュージカル劇。
左右に巨大スクリーンをもうけ映像が映し出される。三面いっぱい使った立体的なステージ。豪華できらびやかな衣装、スピードと迫力がある生の群舞に度肝を抜かれる。目まぐるしくかわるセットに息をつくひまもない。これは凄い!
言葉がわからなくても感動ものの一大エンターテイメントだった。
インド、本気で勝負しています!

映画とはまた違った迫力の舞台のボリウッドミュージカル。見ごたえある舞台にもうこれで日本に帰ってもいい、と思うくらい堪能したインド到着二日目の夜だった。
コートの空はまだ真っ青だったけど、外はすっかり夜の帳が降りていた。
友達が「毎日、カレーでも大丈夫?」と聞いてきた。
もちろん答えはYes。
せっかくインドに来たのだから、本場のカレーを食べなくては勿体ない。
一日少なくとも一回はカレーを食べた。友達がチョイスしてくれたカレーはどれも美味しかった。
お気に入りカレーが二つできた。

一つは赤いカレー、トマトのカレーだ。
我が家ではカレーが少し残ると、トマトの水煮缶を入れカレー味のトマトシチューを作る。トマトカレーはそんな残り物料理とは違って、トマトの味が生きているカレー。それほど辛くなくまろやかな味だ。
イタリア料理店にも連れて行ってもらったのだが、ピザのトマトソースがフレッシュでとても美味しかった。トマトソースに感激したのは初めてだ。瓶や缶でなく生のトマトから作ったのであろう。トマトも日本のと違うのだと思う。
もう一つはパニールカレーだ。パニールとはインドのカッテージチーズのことだ。ぱっと見は豆腐のよう。優しい味でスパイシーなカレーを引き立てていた。
(パニールは家で作れそうだ)と食いしん坊センサーが働いた。

帰国してから本を参考にパニールを3回作った。
作り方は思いのほか、簡単だった。牛乳1リットル、塩小さじ1/4、レモン汁大さじ2を沸騰させて分離したものをこして固める。出る水分はホエイである。
牛乳1リットルをもてあます時があるので、パニール作りは牛乳を無駄にしない点でも気に入った。できたパニールは薄くスライスしてワインと一緒に味わってもよし、サラダに入れてよし、もちろんカレーにと淡白な味なので応用がききそうだ。
最初は国産レモンを入れていたが、レモン汁大さじ2杯とろうとするとレモン1個使う。国産レモン1個100円ほどする。高い。
二回目は冷蔵庫にあったゆずの絞り汁で作った。パニールの味は変わらない。
では、もっと経済的にと、大胆にも酢を入れた。パニールの味はそのままだった。
大量にできるホエイは、カレーやスープに入れると格段と味がアップした。パンにも使ってみた。しっとりとしたパンとなった。

インドにはパニール以外にも、ほうれん草カレー、豆カレー、卵カレーなど豊富なベジタリアンメニューがある。インドは野菜好きにとってパラダイスである。
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<カレースパイスが入った缶>
全粒粉は粉の2割が基本、それ以上入れるとパンの膨らみが悪くなる。大抵のパンの本にはそう書いてある。クックパッドやネットに2割配合を超えるレシピがあるが、焼いてみると岩のような、とてもパンとは言えないシロモノになってしまう(泣)。
でも、せっかくパンを手作りにするなら、健康的なパンを焼きたいじゃないですか。

大豆レシチンやグルテンを加え、全粒粉の割合を多くして焼く。
確かに発酵は進むのだが、美味しくないというか不味い。パンは膨らめばいいというものではないとわかった。
そんなに無理しないでも、玄米を食べればよいことなのだが・・・
でも作ってみたい、食べてみたい、ほぼ100%全粒粉パン。

ありましたよ。インドに。
イーストを入れないで作る全粒粉のパン。
チャパティやパラタは、油と塩と全粒粉だけで作る素朴なパンだ。

全粒粉ラブ♥の私。
幸い台所には全粒粉はたくさんあまっている。
インドの味、再現できるかな。
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<タージマハール>


*ベジタリアンの多いインドでは、全粒粉でタンパク質摂取するのと、イーストを「生き物」と考えるのがイーストなしの全粒粉パンがある理由らしい。
インドの雨はスコール程度だと思っていた。
ところがその思い込みは着いた早々、覆されることになる。

曇り空、天気予報では下り坂。友人のご主人は出かける私たちに、傘と、濡れてもいいサンダルを買ったらどうかと言ってくれた。友人も私も傘を日本から持ってくるのを忘れたからだ。
朝早くから開いているローカルなスーパーに車で行く。
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驚いた。陽水の歌じゃないけど「傘がない」。いや、店員が案内してくれたコーナーに2本だけあったのだが、真っ黒いおじさん傘。いくらまに合わせでも買いたくないダサい傘。
二人とも買わずに、待たせてあった車に乗る。
雨は次第に本降りになった。時折、雷がピカっと光りゴロゴロと鳴る。
インドでどしゃぶりにあうとは日本を発つ時は思いもしなかった。
5年インドに住んでいた友人も、こんな日は珍しいと言う。

ただでさえ渋滞の道路。滅多に降らない大ぶりの雨で大渋滞。クラクションの嵐、ブーブーブーブーうるさい。排水が悪いのだろう。道路はだんだん冠水してきた。舗装していないでこぼこ道は通るたびに水しぶきが飛ぶ。去年の台風の最中、運転した悪夢がよみがえる。運転手はなぜか道路脇に、脇に寄って運転する。こわくて身体を固くする。窓の外を見れば、土砂降りの中、傘もささない人たちが走る、道路を横切っている。お店で傘コーナがないのはこういう理由なのね。

午前中は渋滞で、結局どこにもたどり着けず車の中だった。
友人のマンションに戻り、近くのマックで買ったバーガーを食べる。肉を使っていないベジバーガーがコロッケのようで美味しかった。
心配していた台風25号の影響もなく、飛行機は無事、成田を飛び立った。
席は、友人のアドバイスに従い進行方向に向かって右側を取った。
ヒマラヤ山脈が見えるというのがお勧め理由だった。
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アテンダントが客席を回っている。
「機長によりますと、あの辺りがヒマラヤ山脈だということです。ご覧になれますか?」と指をさす。真っ青な空に、雲がぷかぷか浮かんでいる。
指した指先に目をやる。そう言われれば、遥か彼方に山頂が見えるような気がする。

インドへの道はビザを取ることから始まった。
自分で取る、代行業者に頼む、方法はいろいろあったが、結局、時間とリスクを考えチケットを予約した代理店に頼んだ。担当者に「万が一、ビザが取れなくても返金しません」と脅かされたが、案ずることはなかった。

ヒマラヤを通り越したらインド到着はもうすぐだ。
気持ちが高ぶる。
友達からインドのことはいっぱい聞かされていた。でも自分で見るのとは違う。「百聞は一見にしかず」と言うではないか。
インドを旅すれば、インドを大好きになるか大嫌いになるかどちらからしい。私はどちらだろうか。

愛想のよい入国審査の人だった。「こんにちは」「おはようございます」「ありがとうございます」。まるで知っている日本語を全部使っているかのようだった。

空港には友人のご主人が迎えに来てきていた。
ご主人は待たせてあった車に私たちのスーツケースを入れてくれた。
すでに夕方になっている。日本では見ることができない大きな真っ赤な太陽が沈みかけていた。
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きっと、うまくいく』、一体、どれだけの人に勧めたことだろう。そのうち何人か映画館に足を運んでくれた。
初めは「インド映画?踊るんでしょ?やたら長いんでしょ?」という反応だった友人も、見た後は口を揃えて「すごくいい映画だった」と絶賛した。
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私といえばすっかりインド映画の虜になり、インドに行きたい、インドをこの目で見てみたいという気持ちにまでなってしまった。

思い起こせば数年前、当時、インド在住だった友人に誘われビザまで取りかけたが、「気温45度」と聞いて行く気が萎え、家族の反対もあり取りやめた。
もう少し涼しくなってからと思ったが、ほどなく友人は帰国してしまった。
インドへ行くチャンスはもう巡ってこなかった。そう、チャンスの神様は前髪しかなかったのだ。
ところがこの夏、同じ友人からの誘いがあった。「インドに行ってみない?」
今はインドに単身赴任しているご主人を訪ねるので、よかったら一緒にというのだった。

予定が立て込んでいてかなり厳しい日程だったが、この機会を逃すともう一生行けないかもしれない。なんとか行けるようにしよう!そう、今こそインドに行くその時がきたのだ、そう思った。
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