●工場萌え②
そんな『工場萌え』文もいつしか記憶の隅に追いやられていったこの夏、思いがけない形で『工場萌え』に再会した。『コンビナート夜景クルーズ』のポスターだった。
四日市港を船で一周し、ポートビル展望台より夜景を眺める。土曜は四日市名物『とんてき』を料亭でいただくディナークルーズらしい。
マニア人気に、お役所が地域興しにと目をつけたのであろう。
ポスターに誘われてポートビルに上ってみた。開港100年を記念して作られたこのビルの14階に展望台がある。
伊勢湾、鈴鹿の山々、遠くはセントレア空港まで見渡せる壮大な360度パノラマだ。間近にはコンテナやコンビナート群が見える。まぶしすぎる日差しが痛い。

ところが夜になると景色は一変する。
『100万ドルの夜景』と称される香港にも負けないというと誉めすぎだが、コンビナート工場の明かりが星のごとくキラキラと美しい。長島温泉で打ち上げられる花火も向こうに見える。音のない花火は幻想的だ。
ここが四日市であることを忘れてしまう。

ビルから外を出ると潮風が気持ちよかった。
次に来るときは『オイルマン』だった父を連れてこようと思った。