●息する本棚

母の本棚を整理する
本棚には母の手作りのベージュのレースのカーテンがかかっている。
相当な数の書道関係書に比べたら普通の本は多くないように思えたが、出してみたら結構あった。
大きさ別に紐で結わえる。

家計簿
お父さんが稼いできてくれた大事なお金だからと外から帰ったら必ずつけていた母の姿が浮かんだ。
料理の本
バターケーキやパンまで作る母はちょっと自慢だったのに、一人暮らしとなり、レトルトのハンバーグを買う母は哀しかった。
洋裁、編み物の教科書、染の本、ぬいぐるみ。レース編みの本
祖母に似たのか母は手先が器用だった。子供の頃、作ってもらった洋服やセーターを思い出した。最近はボタンをはめるのもなかなかできず嘆いていたので、そんなこと、ずっと忘れていた。
健康本、家庭の医学
体の不安があると調べていたのだろう。とうの昔に出版された本だった。
黄ばんでしまった小説。仏教の本。
私はあちこちにはさんであるメモの字を見入る。       

本棚には母の一生がぎゅっと詰まっていた。

空っぽになった本棚は寂しかった。
私はせっかく紐で結わえたのに、また紐をハサミでブツブツ切った。

本を戻したら、本棚が急に生き返った気がした、春の夕暮れ。

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by feliza0930 | 2011-04-12 19:50 | ・LIFE