●『瞳の奥の秘密』はアルゼンチン版『殺人の追憶』?

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「絶対、見て」。映画好きの友人の強力なお勧め映画だった。
台詞の隅々まで味わいたくて3回も劇場で見たという。ミニシアター系にありがちな(?)ヒューマンものと勝手に想像していたので正直なところ、さほど見たいと思わなかった。ところが、ためしにネットでぐぐってみると、アルゼンチン版『殺人の追憶』というレビューがいくつかあった。

『殺人の追憶』と言えば韓国映画の巨匠、ボン・ジュノ監督の作品。『吠える犬は噛まない』『漢江の怪物』など社会派映画でも知られている。映画通が『殺人の追憶』を「ほんとうによくできた映画だ。シーンの意味を知りたくて何度も見たくなる傑作」と言っていた映画。韓流スターは出てこないが、韓流前夜だった公開当時、マスコミの注目度も高く、さすがの韓国映画だとの評価の高い作品だった。しかし、自然に漏れ聞こえてくる映画の内容。血、死体、連続猟奇殺人事件・・・どれもこれもおぞましいモチーフ、大体タイトルからして全然そそられなかった。
でも、いつかは見なくてはいけない映画の中にランクインしていた。

さあ、とうとう見るべき時が来た!DVDを借りる。思っていたより残虐ではない。否、もしかしたら残酷&えぐい韓国映画の免疫が知らず知らずについてしまったのか。慣れとは恐ろしいものだ(^_^;)。
個人的な意見だが、韓国は一つ一つ積み上げていくサスペンスものが苦手だと思っている。推理小説もしかり。だが、これは実によく練られた脚本だった。整合性もきちんとある。ひしひしと迫りくる恐怖を見ているこちらまで感じる。ラストの落ちもきちんとつけている。
ギリアム監督の『未来世紀ブラジル』のような、あっと息を飲むシュールで斬新な映像があってびっくりした。

次はいよいよアルゼンチン版『殺人の追憶』の『瞳の奥の秘密』の番だ。レンタル開始を待って視聴。
宅ツタ(TSUTAYA宅配レンタル)の愛想のないDVDケースのおかげで、ジャケットからの先入観を持たなくてすんだ。映画が始まってすぐ、いきなり血まみれの全裸女性死体登場!DVDだとつい早送りする私が、『殺人の追憶』と同じく一度も早送りしなかった。私の「面白さ」のバロメーターの一つだ。友達ほど絶賛はしないけど、サスペンスでもありラブストーリーでもあるこの映画はかなり面白かった。軍政権下のアルゼンチンもよく描かれ社会映画としても通じるだろう。なるほど、台詞の妙味を味わうことができる大人の映画だった。アカデミー外国映画部門受賞はカンヌと違って(笑)妥当だと思う。

結局のところ『殺人の追憶』との共通点は「過去の未解決事件を追いかける」だけだった。追いかける者はかたや刑事、かたや裁判所事務官。殺人事件動機はアルゼンチン映画は愛憎。さすがのラテンです。『殺人の追憶』の方は・・犯人がつかまらない未解決事件だから不明。(現実にあった事件を基にした映画)
誰です?「アルゼンチン版殺人の追憶」と言った人は。全く別物です!
でも共通点がもう一つあった。暗い題材なのにくすっと笑える。
韓国映画とラテン映画、暗いのにそこはかとなく可笑しい、そういう意味で似ているかもしれない。
by feliza0930 | 2011-06-22 13:00 | ・MOVIE | Comments(0)