●1006字

小学校で習う漢字数だ。
この1006字の漢字が全て読める『漢字童話』がある。
テレビの情報番組で「漢字を楽しく学べる本」として紹介された。
副教材として使っている小学校もあるらしい。
この本はそれぞれの学年で習う漢字を使った6つの童話で構成されている。

f0234728_9303178.gif『ぽん太と海の町』(2年生漢字160字)
<あらすじ>
小学三年生のたぬきのぽん太の話だ。
ぽん太はお父さんお母さんお兄さん、お姉さん、弟と妹の七人家族だ。京都から電車で二時間ほどのたぬき村に住んでいる。日曜日、外が真っ暗になるまで友達と遊んでいたぽん太が家に帰ると誰もいない。寝ずに待っていたが、朝になっても帰ってこなかった。毎日村中を探しまわり、尋ねまわった。ぽん太はご飯ものどに通らず、やせてきた。
秋になった。お母さんが夢に出てきた。お母さんは「海の見える山に住んでいるからおまえもおいで」と言う。
「どこの山?」と叫んだが、お母さんは消えてしまう。ぽん太は山に行こうとする。町に出た。大きな電車が目の前を通り過ぎる。びっくりしてしりもちをつき、こわくて歩けない。思わず「お母さん、お父さん、こわい」。すると「ぽん太」という声。たくさんの影も近づいてくる。お父さん、お母さんに兄弟たちだった。「ごめんね。あの日、狼におそわれて逃げるしかなかったんだよ。何日も逃げてこの町まできたんだ。でもおまえのことは一日も忘れたことがなかったんだよ。」
みんなで抱き合って新しい山の新しい家へ帰って行きました(終)
最後まで読んで仰天してしまう。これって童話ですかぁ?私のセンサーが感知する。あることを連想してしまう内容。
もしやと思って三年生、四年生と次々と読み進めていく。

f0234728_9335044.jpg『地球を救え』(4年生漢字200字)
身を粉にして働き病に倒れた母を見て「お母さんはあの工場に殺されたようなものです。」童話らしからぬ言葉が目に入る。21世紀に起きた悪い事例を書いた辞典をもって未来社会に飛ぶ少年と医者。未来の子供たちに自分たちばかりよければいいという考えをやめること、争いをなくすことと説く。考えがゆきわたった頃、戻ってみると住みよい社会に変わっていった。


『ミステリーランド』(5年生漢字185字)
f0234728_21175622.jpgカセットデッキが壊れる。お父さんは「ああ○○製か」とつぶやく。みんなの残したご飯を食べ猫のタマはますます肥える。テレビのニュースに「道徳教育の必要なのは政治家ではないか」とお父さんは文句を言っている。(この台詞もスゴイ)
友喜は遊びに出かける。そこで見た一枚のビラ「夢の国へご招待、一日体験コース」。
友達と探しあてた夢の国。豊富な資源。災害もない国。国民は資源を保護し効率よく使う。個人の責任でものを大切にするのが常識の国だった。国営食堂で案内人のスズキさんから話を聞く。友喜はもらった全国共通の小学生半額券で食事した。家に戻ったらカセットデッキはなおっていた。友喜は夢の国でもらった、みんなが幸せに生きるための本「夢の国の築き方」を開いた。

私の疑惑(?)は確信に変わった。
果たして、この出版社は某政党の本を数多く出しているところだった。それぞれの学年の学習する漢字で話を作るアイディアは決して悪くないと思う。だが理想社会の実現という思想を色濃く打ち出したこのような童話を、子供たちがどう読むのだろうかとても気になる。単なる漢字学習教材としてそこまで考えることはないのだろうか。
by feliza0930 | 2011-08-16 09:38 | ・BOOK