●『マダム・イン・ニューヨーク』

昨年度、愛知女性映画祭の出品作品『English Vinglish』。
この夏『マダム・イン・ニューヨーク』とお洒落なタイトルになって戻ってきた。
(個人的には『English Vinglish』の方が好きだが。)
インドの中流家庭の奥様シャシが、ニューヨークにいる親戚の結婚式に出席するために家族より一足早くアメリカへ。シャシは英語が苦手。そのため家庭でも夫や娘に軽く見られている。
カフェでうまく注文ができず、黒人の店員から小ばかにされるあたりは、こちらもわかるわかる。
誰でも異国の旅先で、多かれ少なかれそうい経験はあるのではないか。
私にもある。香港の某ホテル。念願のアフタヌーンティーセットを頼んでみたものの注文システムがよくわからず何度も聞き直す。アジア人のウェイターの口元に浮かんだ小ばかにした表情、見逃すことはできなかった。言葉の不自由な外国人に全ての人が親切だとは限らない。

壮大なロケや派手さはないけど、心情が丁寧に描かれている。
専業主婦シャシが異国でオドオドしながら4週間集中英語スクールの初級クラスへ。フレンドリーな先生、国も様々な個性豊かなクラスメートと学んでいくうちに英語が楽しくなってくる。
シャシは「国の名前にtheがつかないならどうしてアメリカはthe United Statesなのですか。」と質問する。先生は「Good question!」と言う。授業後、同級生から「先生、シャシの質問に驚いていたね。」と褒められ自信がついていく。先生に誉められると嬉しい気持ち、それもすごくわかる。
かつて私は韓国語を習っていた。授業で「「ようだ」を使った文を作りなさい」と先生に言われた。私は当てられて「おじいさんが亡くなって犬も泣いているようだ」と答えた。
すると先生は「びっくりしました。(文学的で)いい文です」と言う。その時の誇らしかった気持ち、褒められた文とともに今もはっきり覚えている。ああ、その時の感動を忘れず、勉強続けていたらよかったのだが・・・・。

シャシは英語にはまっていくにつれ、次第に家族のことがおろそかになるのも主婦にありがち。
バランス感覚がないので一旦夢中になると家事がおろそかになり、料理も手抜きになっていく。気づくと部屋もくちゃくちゃ。
でも彼女は偉い!主婦の鏡!自己嫌悪に陥って反省する。もと自分がいた場所「妻であり母であることに戻ろう」と気持ちを立て直す。
でもやはりどこかであきらめきれないシャシ。クラスメートの励ましもあって、せめてスピーチテストだけでも受けようとする。
姪の結婚式のためにシャシはお菓子ラドゥを準備する。ところが結婚式当日の朝、息子がラドゥを落としてしまう。うわぁあ!上手い話運び。先が読めなくなってそうきたかです。作り直そうとするシャシはスピーチテストを受けるのをとうとうあきらめる。
結婚式が始まる。驚いたことに英語クラスのクラスメートと先生もやってくる。シャシは姪に促されスピーチする羽目に。
夫は「妻は英語が苦手だから」と言いかける。が、彼女は夫の手を軽く押さえ立ち上がりスピーチをし始める。
・・・・・
ラドゥ作りの得意な妻への褒め言葉のつもりだろうが「妻はラドゥつくるために生まれてきたのさ」と夫に言われ傷つくシャシ。娘に「どうせママは英語読めないくせに」とあたられ、子供は親に尊厳をもつべきだと憤慨するシャシ・・・

実は私はこの映画は一度目は友人からもらったDVD(英語版)で見たのだが、シャシの感動的なスピーチに号泣してしまった。再生ストップし、わからない単語を辞書をひくのももどかしかったので、ざっくり理解にもかかわらずだ。
拙くても自分の言葉で話し始めるシャシ。対等な夫婦の関係、家族でも尊厳を守ること、家族の大切さを切々と訴えるスピーチに、今までの自分たちのシャシへの言動を思いおこしハッとする夫と娘。
クラスメートたちは立ち上がって拍手する。おしとやかなシャシもガッツポーズ!

妻として、母としての尊厳を取り戻したシャシ。
英語はきっかけだ。一歩踏み出して自信をもつ。そうすれば自分が変わる。
『マダム・イン・パリ』は主婦なら共感ポイントがたくさんある。
言葉を学ぶ人も教える人にとってもだ。
「異国で言葉が通じないとはどういうことか」も気づかせてくれる。

結婚式なら踊りも歌も自然だ。帰りの飛行機の中の夫婦で交わす視線がいい。
映画の中のインド女性はいつも貞淑だ。「よき妻であれ、よき母であれ」価値観が根強いようにみえる。イケメンお兄さんが出てきても決してよろめかない(笑)。
しかし最近はインド映画の中の女性も少しずつ変わってきているのかもしれないなと思った。

見に行った友達によると上映後、拍手が起きたそうだ。
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<映画.comより>
by feliza0930 | 2014-07-27 10:05 | ・MOVIE | Comments(4)
Commented by fu-minblog at 2014-07-27 11:40
今年もまたボリブッド映画を見られてよかったです!
しかも、私的にはすごく好きな映画でした。
feliza0930さんは早くに見られてたんですね。

英語はほんとキッカケにすぎないと思います。
やっぱり、一番大切なのは自分に自信と誇りを持つこと。
私から見れば、シャシは英語なんかできなくても主婦としても女性としても十分ステキでしたけど・・・
Commented by feliza0930 at 2014-07-27 14:03
インド映画というジャンルを超え、多くの人に共感を呼ぶ映画でした。真っ直ぐで控えめで愛情豊かで美しいシャシ。そこに自信も備わり・・・シャシのご主人はシャシを二度惚れですね♡
Commented by きょうこ at 2014-08-02 19:08 x
初コメです。実は家族のことで辛い思いをしてました。こちらのブログに巡り合えて「救われた」気持ちになれました。こんなこと言われても困っちゃいますよね?ごめんなさい。素敵なブログの管理人さんと仲良くしていただきたいなぁって… 熱い日が続いてます。お身体ご自愛ください。
Commented by feliza0930 at 2014-08-02 19:29
>>きょうこさん はじめまして。コメントありがとうございます。教えていただいたアドレスは申し訳ないのですが、こちらの判断でblog上からはカットさせていただきました。ネットに一旦、載せるとどう使われるかわかりませんものね。勿論、こちらではメモしてありますので、どうかお気を悪くされないようにしてくださいね。

きょうこさんはご家族のことで大変だったのですね。私の拙いblogがきょうこさんのお力に少しでもなれたのなら大変嬉しいです。
私もいっぺんにいろいろなことが私の肩にのしかかってきた時は本当に重くつらかったです。鬱になりそうでした。blogで毒吐いたり愚痴ったり嘆いたりしもしました。でも「明けないけない夜はない」というじゃないですか。時間も味方になってくれます。

きょうこさん、どうかお体を大切にしてくださいね。